第105話 ストーカー

〜エルフ〜


「「すー、すー…」」


「ふぅ…」


チョロいぜ。

朱音さんに、マッサージでリラックスしてもらう作戦は成功した。


マッサージの途中に部屋の前で琴音さんがウロウロしてるのを察知した。多分だけど私の様子がいつもと違うことに気付いて、何してるのか気になったんじゃないかな?

取り敢えず、隙を見て部屋に引き摺り込み同時にマッサージ、2人とも寝落ちまで追い込んだ。


「win…」


琴音さんをベットの上に乗せる時に筋力強化の魔法使ってたから、琴音さんが抱き上げられた事に驚いてたけど寝落ちまで追い込んだから多分覚えてない、大丈夫。


「布団…」


タオルを2人に掛ける、お腹冷えたら痛くなっちゃうからね。


「喉乾いた…」


集中してマッサージしてたから、ちょっと疲れちゃったな。


リビングに行くとママさんが椅子に座ってパソコンで何かしてた。

メガネつけてるのカッコいい。


「ママさん…」


「お、リースじゃないか…無事なようでなにより。」


危険な事あったかな?


「お水欲しい…」


「オレンジジュースもあるけど、水でいいのかい?」


ジュース、うんジュースが良い。


「ジュースが、いいな…」


「飲み過ぎだけは気をつけるんだよ。」


いつかママさん達にもマッサージしてあげたいな。

魔力込めながらやると、腰痛が治ったりするみたいだしね。


「リースは上で何やってたんだい?ちょっと普通じゃ聞こえる筈がない声が聞こえて気になったんだ。」


「マッサージ…」


「それは、言葉通りかい?」


「?うん…」


ママさんどうしたんだろ、何か聞こうとして黙ってを繰り返してる。


マッサージして欲しいのかな?

この前の魔法料理食べただけじゃ、疲れが取れなかったか…


「……」カタカタ


でも作業してるし、琴音さん達にやった全身マッサージは無理だよなぁ。

手とか肩、頭だけとかでも…いや、作業の邪魔になっちゃうかなぁ。


「ママさん…」


「んー?」


「マッサージ、する…?」


「ふむ…」


ママさんは時間の確認してから、ソファーに居た私の方を見て、


「お願いできる?パソコンに向き合ってると肩が凝っちゃってしょうがなくてね。」


「うん…!」


頑張っちゃうぞー!


グッ


「…!」


硬い!

親指で押しても全然沈まない、恐ろしいぐらい凝ってる…


「か、硬い…」


「ガッチガチだろ?かなり強めにやってくれて大丈夫だ。」


魔法で身体を軽く強化しよう、少しぬるめのお風呂ぐらいの暖かさで肩を揉む。


この硬さは、間違いない、この身体になってから1番の強敵だ。


「手あったかいな、子供の手みたいだ…」


「むっ…えい!」


「イタタタタ、効くねぇ。」


子供とは何事だ、これでも高校生だぞ〜。

ロリに近い少女って見た目だけど…


ーーーーー


「おぉ、すごいな軽くなった。」


嘘だろ…

まだ少し硬いんだ、エルフボディ事実上の敗北。


「……」シュン…


「完全に肩凝りが取れることなんて稀だよ、私は長年の積み重ねがあるんだからね。上手だった、ありがとう。」


悔しい…


「日向ぼっこ、してくる。」


太陽に当たってメンタル回復させよう。

最近エルフボディが植物の近くに居たり、野菜とか食べると回復速いことに気づいたんだよね。

その流れで光合成できないかなって。


そうだ、庭に出る前に一応琴音さん達の様子みておこう。

目を瞑りながら魔力を広げて〜。


「うん、寝てる…」


白黒だけどはっきり見えた、2人ともベットで横になってる。


「ん?」


なんか、いつもより人多くね?

家の外に漏れ出た魔力が、生きてる人間を多数感知した。


「なんで…」


「どうかしたのかい?」


正確な数を数える為に魔力を更に広げる。


1、2、3……


25?!


多すぎワロタ。


「人が、25人…」


「ん?なにかのクイズかい?」


急に25人って言われても困るよね。

てか全員が防弾チョッキ着てる、友美さんの部下かな?

探った限りだと、ご近所さんは普通に生活してる。


だけど急に護衛を増やす意味ってなんだろ。

ゴーレム事件のせいで人手不足って聞いてるし、こんなに人を回す余裕あるのか?


「ママさん、お見舞いしてくる…」


「なら玄関先に置いてある飲み物持っていってあげな、お昼までには戻ってくるんだよ?」


「わかった…」


友美さんにさりげなく確認するしかない。


ガチャ


外に出ると視線が私に一気に集まった、バレてないと思ってるのかな。


「……」チラ


カメラを持ってる人も居る、だけど写真は撮らないみたい。少なくとも私が目的じゃない感じかな。


じゃあ狙われてるのは誰だ?


ピンポーン


「はい。あ、リース様。」


「お見舞い…」


「どうぞ上がってください。今日は少し良くなったみたいでリビングに居ますよ。」


昨日と変わらない様子の友美さん。


「ねぇ…」


「どうしました?」


「外の人、知り合い?」


「外の人?」


友美さんに質問すると怪訝そうな顔をしました。

ということは、


「今日の来客の予定はありませんし通りすがりかと。」


間違いなく友美さんの部下じゃない、別の奴等。


奴等、ストーカー達の目標はきっと朱音さん。

アレが普通のストーカーなら集団で行わないだろうし、防弾チョッキなんて着ない。


ストーカーしてる理由は、魔法使いになった朱音さんの調査とかかな。

暫くは警戒しておいた方が良さそうだ。


今日の夜に女神様にも報告。

一緒に家にいる時なら私が守れるけど、訓練場とかに行く時は離れないといけないから危ない。


「あ!リースさん、おはようございます。」


「おはよう…」


愛美さん元気になってるみたいで良かった。

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