緊急事態発生3(FFXX本隊 vs 炎竜“青付き”)

「ここなら十分だろう!」


 フレイアとヒルデが“青付き”を引き付けた先は、ヴェルセア王国艦隊5隻の艦首だった。とはいえ、距離は2km程度離れているが。


「ようやく止まりやがったぁ!! さぁ、俺と戦え!!」

「言われなくても!」


 迫る“青付き”の爪の一撃を回避し、すれ違いざまに腹部に一撃を叩き込むヒルデ。


「まず一発!」

「イテェ!! やってくれんな!!」


 攻撃から離脱するヒルデを見て、反撃を仕掛ける“青付き”。


「私を忘れるな!」


 だが、状況は2対1だ。

 フレイアによる灼熱のブレスが、“青付き”の動きをけん制するように、目の前に吐き出される。


あちぃなぁ、オイ!! お返しだ!!」


 “青付き”も、ただやられるだけでは済ませない。

 炎竜フランメ・ドラッヒェの名のごとく、炎のブレスを吐きだす。


「おっと」


 赫竜エクスフランメ・ドラッヒェたるフレイアをして、回避を選択させる程度には強力な熱量だ。

 と、フレイアの動きを見たヒルデは、自らもまた“青付き”と高度を取って距離を稼ぐ。


 上下に分かれたことで、“青付き”の周辺には

 それは、つまり――


「撃て!」


 王国連合艦隊、全5隻による集中砲火を浴びせられる状況が整った、ということである。

 ドミニア、ヴァーチアという特大型艦、カラドリウス、アトラス、ギガースといった戦艦・護衛戦艦の主砲が立て続けに火を噴き、“青付き”の肉体に衝撃を与える。


「クソッ、てめぇらぁ!!」


 “青付き”もただやられるだけではない。

 自身の能力である炎熱防壁を繰り出し、熱量によって砲弾を熔解・無力化する。


「ぐうぅ!?!?」


 だが、熔解できる砲弾には限度があった。

 カラドリウスまでの砲弾ならば無力化と言えるほどに熔解しうるが、ドミニアとヴァーチアのそれはカラドリウスのものよりもさらに大口径化しているため、砲弾が残存するのだ。


「チクショオ、いてぇじゃねぇかよぉ!!」


 被弾を積み重ね、弱りながらも、“青付き”は執念を見せる。

 彼は赫竜エクスフランメ・ドラッヒェを追い回す過程で、邪魔者となる戦艦の特性をもまた熟知している。つまり、砲撃の原理を知っている。


 そう、「密接すれば撃たれない、当たらない」と。


「まずはてめぇから潰してやらぁ!!」


 “青付き”が狙いを定めるのは、ドミニアだ。


『しまった! アドレーア殿下!』


 シルフィアが狙撃で阻止を試みるも、既に遅く――


「待たせたな! うおおおおおおおっ!」




 そこに颯爽と現れたのは、全高43mを誇る、ゼルシオス・アルヴァリアが駆る巨大な漆黒のアドシア――ヴェルリート・グレーセアであった。

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