緊急事態発生2(FFXX本隊 vs 炎竜“青付き”)

 その頃。


「母さん、あれ!」

炎竜フランメ・ドラッヒェ……いや、あのウロコは!」


 ドミニアの甲板で待機状態にあったフレイアとヒルデも、竜化した“青付き”の存在を察知した。


「あれ、私たちを狙ってるんじゃない?」

「それに場所も悪いな。あのままでは民間人に要らぬ犠牲が出かねん」

「なら、やることは一つだよね」

「ああ。私たちはいいオトリになれる。だが、あのようなやからに倒されるなよ? ヒルデ」

「もちろん! 母さん」


 やり取りを終えた二人は左右それぞれに分かれ、空中に飛び降りる。


「行くぞ!」

「うん!」


 そして空中で、本来の姿――赫竜エクスフランメ・ドラッヒェたる全高100m、全長250mの威容を示す。


「あぁ!?!?」


 その姿を見た途端、“青付き”が食いついた。


赫竜エクスフランメ・ドラッヒェぇ……!! やっぱりいやがったかぁ、見つけたぜぇ!!」


 並々ならぬ執念を見せ、群がるアドシアを無視して一直線にフレイアとヒルデの元へ向かう。


「母さん、離れよう! ここじゃドミニアまで巻き添えになっちゃう」

「ああ! うまい具合に距離を離すぞ!」


 フレイアもヒルデも、すぐには戦わない。

 まずは“青付き”を誘導するために、一目散に逃げる。


「逃げるなぁ!! 俺と戦え!! そして俺に下されやがれぇ!!」


 迫る“青付き”をよそに、フレイアとヒルデはひたすら艦隊から距離を置くように誘導していた。


     ***


「閣下、ご無事で!」


 一方のゼルシオスたちは、アドシア部隊とフレイア・ヒルデ母娘おやこの援護により、一人の死傷者も出さずにドミニアまで到着した。


「俺はヴェルリート・グレーセアで出る! 彼らを艦内シェルターまで誘導しろ!」

「了解!」


 続々と到着した200人の冒険者たちを尻目に、ゼルシオスは格納庫まで走る。

 と、その時。


『ゼル、無事か!?』

「ゲルハルト! こっちは無事だ、どうした!」

『他の竜種ドラゴンがつられて来た! 首が三つある!』

「何だと!? ならそいつらは三首竜サーベロイ・ドラッヒェ……ただでさえあの炎竜フランメ・ドラッヒェとの戦闘で忙しいってのに! 気を付けろ、奴らの首は300mは伸びる! ビームも撃ってくるぞ!」

『了解! 俺と一部の機体はそっちを抑える!』

「並のアドシアなら32機は要るぜ! ……って、お前のアズリオンはアドシア以上のパワーだったな。気を付けろよ!」


 ゲルハルトとのやり取りを終えたゼルシオスは、格納庫に直結するエレベーターに乗る。




「待ってろよ、フレイア、ヒルデ! 今、てめぇらのストーカーをぶっ潰す!」


---


★解説

 ゲルハルトたちが参戦できない理由が出来ました。

 三首竜サーベロイ・ドラッヒェは通常のアドシア32機がかりでようやく仕留められるため、ボスや逸脱者に匹敵するエネミーです。

https://kakuyomu.jp/works/16817139558351554100/episodes/16817139558499669791


 あと、「後付けじゃねーか!」というツッコミ防止のため、ゼルシオス君の愛機である「ヴェルリート・グレーセア」の情報を一部書いておきます。

 それは「どういうワケか、設計段階で超高熱環境を想定しているため、赫竜エクスフランメ・ドラッヒェの炎熱防壁(“青付き”のそれより高温で強力)にも耐えられる」というものです。

 ついでにある程度の耐圧環境もあるため、多少の潜水も可能(これはさすがにリア様による強化を付すと思いますが……)。


 さて、盛り上がってまいりました“青付き”戦!

 セルフ後始末なのに楽しいw

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