緊急事態発生1(FFXX本隊 vs 炎竜“青付き”)
「ル……
突如として出現した
「こちらアドレーア、『稀少』級
「クソったれ、よりにもよってこのタイミングか! ヴェルリート・グレーセアも
毒づくゼルシオス。
彼の直感は、“直感を認識した時点を基準に、時間が経てば経つほどに漠然とする”という一種の制約があったのだ。ゆえに「何か危機が起こる」とは認識できても、「
彼にとっては非常に不本意なことに、「自らアドシアを駆って出る」ということが出来なかったのである。
「ッ!」
と、
「まずは……てめぇらから焼き尽くしてやらぁ!!」
首を伸ばし、顔を上に向ける
喉元にある青いウロコが、ゼルシオスの視界に入った。
「……テメェ、“青付き”かよ!」
ゼルシオスが半ば反射で、しかし半ば直感でその名前を叫んだ瞬間、
「誰が『青』だってェ!?!? 人間ごときが、俺をイラつかてせんじゃねぇ!!」
空気をたっぷりと吸った
『ゼル君!』
ブレスを吐くまさにその瞬間、“青付き”の口元に300
「ごはぁっ!?!?」
攻撃の瞬間という隙を突かれ、大きく動揺する“青付き”。
追撃として、さらに100mm弾が数発、正確に“青付き”の目元に叩き込まれる。
「クソォッ、誰だ!! 俺を邪魔しやがるのは!?!?」
「シルフィア!」
ゼルシオスが振り向いた先には――ドミニアの甲板に立っているアドシア、“
ゼルシオスの幼馴染であるシルフィア――シルフィア・マイシュベルガー大尉専用機であり、白と桜色の機体がよく映える。狙撃仕様に調整された機体であり、その特性とシルフィアの技量が、先ほどの見事な援護を果たしたのである。
そんな
『無事みたいだね。良かった、ゼル君』
「間一髪だったぜ。出撃体制整えてたから、すぐ出たのか?」
『うん。それと、アドライア様が「あの男がああ言うからには、何かある」って私を先に出撃させてくれたんだ』
「変なとこで信頼されてんな、俺……」
やり取りをしている間にも、増援のアドシアが続々と出撃してくる。
現行機のアークィス、最新鋭機のリヒティアと、既に機数は30機を超えていた。
『ゼルシオス閣下、ご無事ですか!?』
「無事だよ! 俺も後でヴェルリート・グレーセアに乗るから、それまで踏ん張れよ」
『了解です!』
忘れられがちであるが、ゼルシオスは爵位持ちの男である。
それはともかく、
同様に出現頻度「稀少」の
“青付き”――
それゆえに――
(30機ほど、か……。最新鋭機のリヒティアがいるってのは分かってるが、それでも時間をかけるとヤバいな。これはナメていい相手じゃねぇ)
この状況にあってなお、ゼルシオスは安心しきっていなかったのであった。
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