次なる領域は、海(ユニット:FFXX本隊)

「では、我々は次のエリアへ向かいます。東に針路を合わせてください」


 艦隊総司令となったアドレーアが下した号令は、エリア8――ミナレットスカイを去り、東へ進むことであった。

 ひとまずの用事を済ませた以上、長居する意味は無い。


「あー、アドレーア」

「何でしょう?」


 と、ゼルシオスが方針に意見する。


「ちょいと戦い続きで疲れちまった。休みてぇ」

「それはそうですわね。ゲルハルト様から聞いた話によれば、向かわれる場所――『エリア1:アクエリアス』は海満ちる域だそうです」

「海か……いいな。水着、あったっけな?」


 海と聞いて目の色を変えるゼルシオス。泳ぐ気満々である。


 それを聞いたアドレーアは、ある判断を下す。


潮時しおどきでしょう。全艦に通達。本艦隊は、只今より24時間の休息を取ります。索敵要員や機関要員の一部を除き、総員休息に入ってください。詳細な指示は各艦長、ないし部隊長に任せます」

「はっ。伝達致します」


 アドレーアの通達を、ライラがそのままヴァーチア、カラドリウス、アトラス、ギガース各艦長に伝える。


「そういうわけで、ゼルシオス様。ご存分に、お楽しみくださいませ」

「お前は?」

「私は艦長です。休息は取りますが、艦を預かる身ですゆえ。それに、これでも……第4王女ですから」

「そうかよ。まったく、だから爵位なんざらねっつったんだ。自由気ままに、休めやしねぇ」

「若さは免罪符になるでしょう。それに、これまでのこちらでの戦績を鑑みれば……このくらいは、許されるのではありませんか?」


 いたずらっぽくほほ笑むアドレーアを見て、ゼルシオスは「かぁ~っ」とうなる。


「ったく、てめぇにゃ勝てねぇわ。そんじゃ、楽しんで休ませてもらうとすっか。ちょっとっけど」

「それが良いかと」


 微笑むアドレーアに背を向けて、早々に休息モードに移ろうとするゼルシオス。

 と、ピタリと足を止めた。


「そういや……女性用の水着、まだあるよな? けっこうごっそり連れてくつもりなんだが……」




 こうして、集結した増援と共にヴェルセア王国艦隊は休息モードに移るのであった。


---


★解説

 作中時間合わせのエピソード。

 水着回は現状気力が湧かないので、「書く気になったら」と書き含めておく。やるとしたら状況報告エピソードになるかもしれない。あと、賑やかしとしてエネミーを借り受けたり……。


 さりげなくアドレーア様とゼルシオス君の力関係を示してあるので、垣間見ていただければ幸いである。

 ついでに、ゼルシオス君はこのエピソードの時点で「子爵以上」が確定しています。本人の意思と裏腹にどんどん爵位が上がっていく……w

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