交差せぬ二人(ユニット:ティトット&ロイヤ)

 時は少し前に遡る。


「ひゃ、速ーい!」

「くぅっ、これはしがみつくだけでも……!」


 隕石の迎撃中に、フレイアとヒルデはそれぞれ、ティトットとその助手であるアメリアをドミニアの格納庫へと乗せていた。


「話は通してある! 行けっ!」


 いまだ降り続く隕石片を撃墜するために、フレイアは二人を安全な艦内へ向かうよう促したのであった。


     ***


 それからFFXXの奮戦により、隕石が最後の一かけらも残さず砕かれて燃え尽きたとき。


「竜がいっぱぁい……たまりませんわぁ♪」

「今出たら助かりませんけどね。ここ、下手な山より高いですよ」

「分かってる分かってる、今は見るだけ~♪」


 自身の大好物であり、そして追い求める竜種を、よだれを垂らしながら眺めるティトット。


「……ん?」


 と、誰かと視線が合った感覚を覚える。


「……気のせいかな?」

「どうしたんですか?」

「あのあたりと、視線が合った気がするんだけど」

「……何もいませんよ」


 アメリアと話すも、全くもって何も見えない。


「そっか。そうだよね」

(おかしいな? 見えないけど、確かに誰か……)


 口ではこう言いながらも、ティトットはハッキリとした視線を感じていたのであった。


     ***


「おや?」


 一方。

 神錘の代行者たちと行動を共にしているアンドロイド、ロイヤ・ホープフルロード。

 彼もまた、何者かと視線が合ったような感覚を覚えた。


「どうした?」


 口数は乏しいが仲間を心配しないわけではない代行者が、ロイヤに問いかける。


「いえ、誰か……とても大事な人の気配がしたので。まるで……“Sirサー”を思い出すんです」

「“Sirサー”か。良ければその話、聞かせてもらいたいものだな」

「はい」


 代行者に、そして一緒にいる一行にも、自身と“Sirサー”の関係性について話すロイヤ。

 だが頭の中では、別のことを思い浮かべていた。


(気のせい……だったのか? あれは……あの戦艦の中にいる誰かは、“Sirサー”の気配とよく似ていた)




 二人が邂逅かいこうするのは、もうしばらく先の話である。


---


★解説

 フラグ。

『彼は、我らが友なり3』で書いた“ロイヤ君には南木様の“あるキャラ”との邂逅を果たしてもらう必要がある”のフラグ。伏線とも言う。


 タイトルで思い切りバラしているが、その“あるキャラ”はティトット姉さんのことである。

 ぶっちゃけ、ティトット姉さんとロイヤ君の設定を見たら「あ、これは組み合わせられるわ」と思ったがゆえの行動。


 特に設定で縛られていないのを利用して、ティトット姉さんには「ある特性」を付与しています。「これ見りゃ何となく予想つくわ」との反応が出そうでしょうが、まあ、そういうことです。

 どんな特性を付与したのか、またどういう思考の過程を経てこの特性を付与するに至ったのかは、今はまだナイショ。


 たぶんゲルハルトサイドと代行者サイドのそれぞれの予想進路から考えれば、本編で書いた通り当分先の邂逅になりそうです。

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