テスト返し

 4連休はあっという間に過ぎ去り、今はもう過去の話となった。特に何もない水曜日だが、少し変わっていたことといえば月曜日のバイトでジャムからゆずるさんとの仲直りを褒められ、柄じゃないなと思ったことぐらいだ。


 月曜と火曜は桜も俺の家には来ず、なぜか今日も休んでいる。


「影杉。今日夜道、熱で休んでんだ、お前家知ってるだろ、これ渡しといてくれ」


 先生にファイルを渡される。てか俺家知らんぞ、あとテスト入ってるだろ、渡して良いのかこんなもん。


 ちなみに俺のテストは全教科平均点から5〜10点ほど上という何の面白味もない結果となった。


 学校が終わりとりあえず家に帰る。スマホで桜に家を聞く。


(お前家どこだ?)


(どうしたの?私の虜になっちゃった?)


(早く教えろ)


(脅迫じゃんw)


(ファイルを渡すだけだから)


(○☆を左に曲がって、▲□の手前の白い家)


(了解した)


 とりあえずスマホ切る。そのあと一件通知がきたが、桜がなんか送ったのだろう。俺はコンビニでゼリーとヨーグルトを買ったあと桜の家に向かった。


ピーンポーン


「待ってましたぁ!」


 インターホンより早いレベルでドアが開いた。


「熱じゃねぇのかよ」


「もちろんしんどいよ?38.3ぐらい」


「寝とけ、後これ……」


 そう言って茶色い紙袋に入ったゼリーとかとファイルを渡す。


「お大事にな〜」


 後ろを向きまた来た道を引き返す。


「ちょっと待って!」


 桜は俺を引き戻す。


「何?家入れってなら無理だぞ」


 そう言って振り返る。


「私!もも食べれなーい!りんごのゼリー買ってきてー」


 俺は数秒前の俺を殴りたい。


「何のためのヨーグルトだよ」


「良いじゃん私病人だよ!」


「確かにある意味病人だな」


 そう言って前を向き、止めた足を進ませる。

最近夜道桜の話が多いが俺はこのバカコメのヒロインはゆずる先輩だと信じてる、何となくで振り返るとそこにはドアを全開にしたままモモのゼリーを立ち食いしているあいつがいた。


 俺はスマホを覗く。そこにはさっき桜から送られた意味不明のスタンプがこちらを見ていた。

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