2#32 嘘
「さぁ!兄さん!そのうちに眠る義妹に対する想いを解き放ってください!理性を捨てて、本能を解放するんです!欲望の赴くままに!さあ!」
よしわかった。お仕置タイムだな!
(おしおきする体制は規制)
「涼花、兄に催眠アプリを使う悪い子にはお仕置が必要だと思わないか?」
「ふぁっ……?催眠アプリ……?お仕置……?あれ……?兄さん何やら様子が……」
「残念だが、俺は催眠にかかっていない」
「……えぇっ!?」
俺の告白と共に涼花は驚きの声を上げる。
「おまえがまた俺に催眠アプリを使おうとしたからな、催眠にかかったフリをした」
「えぇええっ!?さ、催眠にかかったフリ!?な、なんで兄さんが催眠アプリの事を知ってるんですか!?」
「それは今は関係ない。そんなことより涼花。お兄ちゃんはな。涼花の事を信じていたんだよ?涼花はいい子だから催眠アプリを使っても変なことはしないだろうと思ってた」
「わ、私は、へ、変なことなんてしてませんよ!それもこれも全部兄さんが望んでいることをさせてあげているだけじゃないですか!?」
「……ほう?」
「兄さんは私の事、妹じゃなくて、1人の女の子として見てて、それで、本当は心の中では、私に欲情してて、押し倒して、めちゃくちゃにしたいって!そう思ってるって!言ったじゃないです!」
段々と涼花の語気が上がっていき、最後には叫ぶように俺に訴えてくる。俺はそれに対して酷く冷静に返答を返した。
「……そんなこと思ってないけど?」
「……え?」
「俺は涼花の事は妹としか見てないよ?涼花に欲情してないし、押し倒そうとも思ってないよ?」
「……嘘……そんな……なんで……あれ?えっ……だって……兄さん……」
涼花の体から力が抜けていくのがわかった。俺が手を離すと涼花はガクりと項垂れた。
「意味がわかりません……なんでなんでどうして……兄さん言ってたのに……兄さんの本心聞き出したはずなのに……それで兄さんとしたのに……やっぱり嘘ですよこんなこと……兄さんはこの後に及んで嘘をついているんです……催眠アプリだって使ったはずなのに……はっ!?も、もしかして誰かに催眠アプリを使われている?それで私に嘘をつくように操られてる?そうですそうですそうに違いありません……だから兄さんが私を妹としか見てないなんてやっぱり嘘なんですよ……嘘、嘘嘘嘘嘘嘘……あはっ、それだったら大丈夫じゃないですか……やっぱり兄さんは私の事、好きですよ……女として見てるんです……操れているだけなんですね……だったら兄さんの目を覚まさせて上げないといけませんね……」
涼花はブツブツと何事かを呟いて、そして顔を上げた。虚ろな瞳で笑っている。楽しそうに笑っていた。
「兄さん」
「す、涼花……?」
「兄さんは今、催眠アプリに操られています」
「は?いや俺は操られてなんか……」
「黙ってくださいッッ!!操られてる兄さんの言葉なんて信じませんッッッ!!!」
今まで聞いた事もない大声で涼花は叫んだ。それに俺は思わず黙り込む。
「安心してください兄さん……こういうのって大概が愛の力でなんとかなるモノなんですよ……だからね。私が今から兄さんの催眠を解いてあげます」
するりと自然に涼花は俺に抱きついてきた。
「こうすれば……私と兄さんの愛の記憶、蘇りますよね?」
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