5日目

2#27 誘惑



強制わいせつ償い週間も5日目となりました。


久保皐月です。満身創痍です。


鈴木の地獄の特訓から始まり、美春にメンタルを削られつつ全身を軽く負傷、そこから緑ちゃんの衝撃の告白でメンタルに追い討ち、極めつけは馬鹿(麻沙美)に付き合って丸一日穴掘りに付き合い体にも追い討ち。


毎日がハードモード。過酷過ぎないでしょうか?そろそろ倒れてもいい頃合いだと思うんだが?


しかし、弱音は吐いてられない。俺は催眠アプリとか言うクソみたいな物に手を染めてしまったアンポンタン共を更生させなければならない、と思っている。その原因の一旦は俺にある。


まず緑ちゃんが初めに懺悔した。正直、緑ちゃんの告白が無ければ事態の全容を把握は出来なかっただろう。やはり緑ちゃんはとってもいい子だ。いきなりベロチューしてきたりとちょっとアレな行動はあったが素直に反省できてとてもえらい。


鈴木も改心した。なんだかんだで素直な奴だ。鈴木もとてもえらい。


麻沙美の馬鹿は馬鹿だ。この馬鹿はまだまだ反省が足りないというか反省する素振りが無い。麻沙美を改心させるには相当時間を要するだろうが改心するまで付き合うつもりでいる。馬鹿な子ほど可愛いといったところか。いやまったく可愛くは無い屑だけど。


美春は……まだしばらくは距離を置こうと思う。


さてそうなると残るは3人、涼花、夏雲、聖歌ちゃんだ。


まだ3人がどういう行動に出るかはわからない。まぁカズはなんとなく予想できるが。


ひとまず日替わり私刑(笑)に付き合いつつ、どう行動するのか見極めるつもりでいる。悔い改めてくれるのが1番いいが、最悪、催眠アプリを使わないでくれるのなら、それだけでもいい。確かに思うところはある。怒りが湧いてこないでもない。だが使わないということは使った事に何か思うところがあったのだろうから。


今日は涼花の担当日だ。


さて涼花どういった行動に出るのだろうか。お兄ちゃん的には素直に謝ってきて欲しい気持ちはある。日頃、俺の面倒を見てくれる涼花にはあまり怒りたくない。


義妹、久保涼花の選択や如何に。



お兄ちゃん信じてるからな!




◇◇◇




ざっく、ざっく、ざっく。



「……もう掘りたくない……もう掘りたくない……」



ざっく、ざっく、ざっく。



「ふっ、涼花くんと言えどこれは堪えたか。何、慣れてくればどうということは無い。私が穴を掘り、その穴を皐月きゅんが埋める……これは2人の愛の共同作業だ。むしろ私の穴を皐月きゅんが埋めるのだから実質子作りみたいなものだ。おぉおお!興奮してきた!子作り!子作り!子作り!」



ざっく、ざっく、ざっく。



「皐月!掘ったぞ!埋めてくれ!(にこやか)」



ざっく、ざっく、ざっく。



「ダメですね……この人達はもう既に狂ってる……」



ざっく、ざっく、ざっく。



「くっちゃべってねぇで黙って掘れや!」


「はひっ!」「おう!」「はい……」



お馴染みとなりつつある自然公園、その浜辺にて穴を掘るJKが3人とそれを監視する俺。傍から見たら異様な光景だった。




◇◇◇




朝、目が覚めると枕元に使用済みゴムが置かれていた。しかも大量に散乱してる。なにやら使用済みゴムは口が縛られていて中に白い液体が入ってる。


俺はどこか確信を持ちながら、そのひとつを手に取ってみた。臭いは無い。おそらくは水溶き片栗粉かなんかだろうと思う。


そこで台所の方から物音がするのに気がついた。


まぁ……涼花だろうなぁ。


俺の知らぬ間に部屋に誰かが勝手に入り込んでいることに慣れきってしまっている自分が居た。俺のプライバシー君が行方不明である。





桃。





台所に向かうとそこには、シミひとつ無く綺麗な、みずみずしく、柔らかそうで、とても美味しそうな桃があった。思わずむしゃぶりつきたくなる素晴らしい桃だった。


否、義妹の尻であった。



「あっ、兄さん。おはようございます」


「おはよう涼花」



俺が来たことに気がつき、振り向いた涼花は残念ながら(?)全裸では無かった。前を向いてわかったが涼花は白いフリルのエプロンを身につけている。


なるほどなぁ。エプロンで前だけ隠して後ろは地肌丸見えだったから全裸だと勘違いしたわぁ。


涼花が服着てて(?)よかったぁ。



「涼花……なんてカッコしてるの……?」


「裸エプロンですよ兄さん」


「いや……それは辛うじてわかるんだけど……俺が聞きたいのはなんでそんなカッコをしてるかなんだけど……」


「ふふふっ、兄さんを誘惑してるんです」



涼花は妖艶に微笑みながら近づいてきて、ピタリと俺に張り付いてきた。そして、唇が触れるか触れないかの至近距離まで顔を寄せてくる。女の子特有の甘い匂いがしてくらりと脳が揺れた気がした。



「兄さんは誘惑に負けて無理矢理女の子にえっちなことをしてしまう性欲つよつよ変態お兄ちゃんです。でもそんなのってイケませんよね?」



するりと涼花の人差し指が俺と涼花の唇の間に壁を作るように差し込まれた。



「だから義妹である私が兄さんをいっぱい誘惑して、兄さんにはその誘惑に耐えてもらおうと思います。これで兄さんは誘惑に負けない鋼の精神を鍛えるんです」



ちゅっと人差し指が涼花の唇で押されて俺の唇に触れた。



「兄さんはどんなえっちな誘惑をされても義妹に手を出したりなんかしないですよね?」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る