2#14 食堂
昼休み。
「なんでも今朝、首輪に繋がれて興奮する変態が出たって話だぞ」
「おまっ……バカっ……それ明らかに……!」
「あっ…………」
そうだね。それは俺だね。
一般生徒のひそひそ話が耳に入ってきた。
俺氏、今更ではあるが割と耳は良い方で否が応でもヒソヒソ話とかは聞こえてしまう性分。難聴系主人公にはなれなそうである。
昨日は鈴木と一緒にそれはそれは激しい筋肉トレーニング(文字通りの意味)。
そして本日は美春による羞恥プレイという名の過酷なメンタルトレーニングだ。
もはや身も心もボロボロである。
人の噂は早いもので朝の1件は既に校内で拡散済み――というか現在拡散真っ只中である。
学食という名の多くの生徒が集まる場で俺は美春の椅子になっていた。
相も変わらず首輪で繋がれながら、俺は四つん這いになり、そして、その俺の上には美春が腰掛けて、昼食をとっていた。
とんだ晒し者である。学食に昼食を取りに来た学生達の奇異の視線が突き刺さり俺のメンタルをガリッガリっと削っていく。
ちにみに美春はそんな視線を気にした様子は無く何食わぬ顔でランチタイムだ。美春のメンタルの頑強さホントどうなってんの?
「美は――あぶっ!?」
パシーン!
美春に声をかけようとすると尻を引っぱたかれた。
「イスは普通喋んないわよね?」
「ご、ごめ――ひうっ!?」
パシーンッ!
「何アンタ私の言ってることが理解できないの?喋んないわよね?」
「……………………」
なんたる理不尽。
パシーン!
「あびゃ!?」
「なんで黙ってんのよ。おイタしたら「すいませんでした」でしょ?」
「す、すいませ――あばっ!?」
パシーン!
「だからイスは喋んなって。今、言ったこと忘れた?アンタの脳みそどうなってんのよ」
「えっ、いや、だって、今、謝れっ――おふっ!?」
パシーン!
「アンタはホントどうしようもないわね。私の言うことを何一つ理解できないの?なんでそんなバカなの?ちゃんと私の言うこと聞きなさいよ」
「う、うぅぅ……」
何を言っても全否定で美春の張り手が尻に飛んでくる。
正直、言ってあんまり痛くはない。
痛くはないけど言葉責めと合わさって俺のメンタルをゴリゴリと削っていく。
そしてはたかれる度に周りの視線がキツくなっていく「おいおい昼間っからなんのプレイしてんだよ羨ましいな死ね」的な感じで。
おいまて羨ましいのか?いやでも美少女に座られて言葉責めされながら尻をパシンパシン叩かれるのはご褒美と言えばご褒美なんではないだろうか?
そこら辺どうなんでしょうか?私的にはわかりません。でも俺の背に乗る美春のお尻が柔らかくて気持ちいいなとは思っています。
美春を見る。恍惚とした表情で口元が僅かに歪んでいる。あっ、これめっちゃ楽しんでるわ。
「だいたいアンタっていう男は」
パシーン!
「私っていうものがありながら」
パシーン!
「他の女と仲良くして」
パシーン!
「この女ったらし」
パシーン!
「変態」
パシーン!
「スケベ」
パシーン!
「クズ男」
パシーン!
「アンタにはしっかりと」
パシーン!
「誰がアンタの飼い主なのか」
パシーン!
「その身をもって」
パシーン!
「教えてあげるわッ……!」
バシーンッッッ!!!
「うっつッ!?」
一際大きく美春が手を振りあげて俺の尻を引っぱたく。
「はぁ……はぁ……」
気がつけば美春の息が上がっている。顔を赤らめて、瞳はトロンと蕩けさせていた。そして、口元が大きく大きく三日月型に歪んでいる。
ゾクッとそれを見た俺の背筋を冷たいものが走る。コレあかん奴。こうなったらもう美春は……!
「ほら立て」
そして美春は俺の背中から腰を上げるとリードを引っ張り俺を無理矢理に立ち上がらせる。
「行くわよ」
俺の返事など待たずに有無を言わさず美春は俺に繋いだリードを引っ張り歩き出す。
ああ……俺は今から何処に連れていかれるのか……お昼まだ食べてないんですが……。
筋肉痛とスパンキングで軋む体に羞恥プレイと言葉責めで削られたメンタル。
俺は生き残ることが出来るのだろうか?
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