第37話 キヌーイ帝国の侵略
皇都リファーの宿に戻ってきて4人は流石に50階層のダンジョンを2日で踏破し疲れていたので夕食を食べるとそれぞれの部屋に上がって寝ることにした。
サトルは今までのダンジョン制覇で得た宝箱の『マジックアイテム』の整理も終えてスザンヌがシャワーから上がったのでサトルもシャワーを浴びてベッドにダイブし、いつものようにスザンヌの対サトルスキル耐性の訓練を始まるのだった。
朝方いつも通り朝練をし、朝食を食べてギルドに向かった。
素材置き場によって昨日の納品書を受け取り、受付嬢のルリーさんにダンジョンコアと地図それに納品書とカードを出して待つこと20分。
2階からギルドマスターらしき女性が降りてきて「スザンヌ様御無沙汰しております」
「スーザンお久しぶり!元気そうじゃ無いか、あっ、私の旦那を紹介するわ」
と言ってサトルをスーザンに紹介する。
「リファーのギルドマスターをしているスーザンです」
「スザンヌの連れ合いのサトルです。この度はお世話になりました」と、通り一遍
の挨拶をしてダンジョンコアをルリーからスーザンが受け取り「清算金がものすごいことになっているわ、スザンヌさん」
「50階層まであったから大変でしょ?資金の方は足りそう?」と元ギルマスのスザンヌだけあって相手の心配をしてあげている。
「昨夜から準備していたので大丈夫よ」とスーザン。
「それで白金105枚、金貨98枚、銀貨95枚、銅貨87枚をサトル様のカードでよろしいのですね?」
「ええ、そうしてください」
「それでは皇都をお楽しみくださいね」とスーザンは2階のギルマスの部屋に戻って行った。
ちょうどルリーから全員がカードを受け取った時に、サトルの『遠距離通話器』が鳴った!
プロバラ王国王妃のエルミナ王妃からの緊急連絡だ。
「サトル殿以前話していたキヌーイ帝国が戦線布告をしてきたのじゃ!メッシーナ王国の王妃殿にはサトル殿とスザンヌ殿の力をお借りする旨の許可をもらっておるので至急【転移】でバレンバール迄きてたもう!」
「わかりました、今から我々の仲間4人でそちらに転移します」
サトル、スザンヌ、マーガレット、ルビーゼ4人はプロバラ王国王都セッシュランの城門前に転移した。
「エルミナ王妃から緊急連絡を受けてまかりきました冒険者のサトル、スザンヌ、マーガレットとルビーゼの4人です、王妃にお取り次ぎ願います」と言って王妃から頂いた”秘剣のダガー”を見せた。
衛兵は騎士団から連絡を受けていたようですぐに執事長が来て王宮の王妃がいる間に案内された。
「おお、久しいな!サトルにスザンヌ」
「お久しぶりです、王妃様。後ろに控えて居るのは仲間の冒険者でマーガレットにルビーゼと申します。我家の侍女達です」
「マーガレットと申します、よろしくお願いします王妃様」
「同じくルビーゼです。王妃様」
「さっそくじゃが帝国が攻めてくる前線の街に応援に行ってたもう」
「国境線全てを防衛しなくても?」
「我が国の斥候が調べ上げたところによると国境沿いの街のリルセールに通じる街道に5千の兵士を集結させて居るのじゃ、我が軍は今は1000人。今お主達の国に援軍を頼んでおる状況じゃ」
「王妃、プロバラ王国軍は100人程街を残し、あとの兵隊は他の国境沿いの警備に当たってください。5千の兵士なら我々4人で充分ですから」とサトル。
「今から直ぐにリルセールに【転移】しますがどなたと話しすれば良いですか?」
「リルセールの街に王族直轄の騎士団が500人居るのでスザンヌも知っているバレッサ副騎士団長に話しを通しておる」
「分かりました、では開戦の暁には勝利報告を直ぐ致します」サトル達は一瞬でリルセールの街に着いた。
そばに来た騎士にバレッサ副騎士団長との面会を頼んだ。
王妃からの依頼と言っても信用されないので、サトルが”秘剣のダガーを見せてやっとバレッサに会えた。
「スザンヌ様応援有難うございます。サトル様もかたじけない」
「バレッサさん、この街には50名程残してあとは他の国境沿いの街の警戒に回して下さい」
「ここの街は私達4人が居れば5千の兵士を全滅出来るので」
「ホントですか?」
「私を信じて急いで他の国境の警備を頼むわ」
「分かりました、私と40人を残してあとは他の国境に配置させます」
サトルは騎士団が他の国境線に向かったのを確認して、残った騎士達を街の警備に当たらせ、街ごとシールドで囲った。
スザンヌ達4人とバレッサだけが街の門の外で帝国兵を一望できる正面に『具現の水晶』で作り出したトーチカの中で開戦の時を待っている。
いよいよ帝国軍5千の軍勢が動き出した。
「スザンヌ、国境を越えたら殲滅しても良いな?」
「私も例の【ティルトウェイト】を初めて対人に対し使ってみるわ」
マーガレットが「遂に帝国軍が国境を超えました」と、言って来た。
「よーしゃ!やるぞーマーガレット、ルイーゼ好きなだけ魔法を打て!」
サトルはいきなり巨大な上級魔法【極大インフェルノ】を放った。
一気に3000人の帝国軍が巨大な業火な火に包まれて灰になって居なくなる。
続いてスザンヌが【ティルトウェイト】を放つと1000人の帝国軍が肉体を粉々にされて消えてしまった。
マーガレットが【エアカッター】を、ルビーゼが【土石流】を放って残った帝国軍は300名程で王国に背を向けてひたすら我先にと帝国に向かって逃げて行く。
サトルとスザンヌは二度とプロバラ王国に攻め込ませないために二人で【転移】して逃げる兵士の前に現れスザンヌが20人程を、サトルが100人程を消し去り残り全員を【呪縛の縄】で束縛してトーチカに連れてきた。
プロバラ王国副騎士団長のバレッサは信じられない4人の助っ人の力を目の当たりにして言葉も出なかった。
「スザンヌ、王妃に連絡して更に攻め入るか聞いてくれないかな?」
「分かったわ!」
「王妃様、5000人は殲滅して捕虜200人を捉えましたが更に帝国に攻め込みますか?少しお仕置の為に攻め込んで王宮の皇帝を捕まえても良いですが・・・」
「なんとな、もう戦いに勝利したのかや?」
「はい、サトルが3000人を灰にし、私が1000人を消し、侍女達が残りを倒しましたので」
「向こうから開戦して来た戦いなので暫くその街に留まり様子を見てたもう。バレッサを一旦王都に戻し騎士団長が1万の軍勢でお主達がいるリルセールの街にむかわせたから」
「バレッサ殿、王妃様とお話ください」
「王妃様、バレッサです。戦いは20分程で4人の方達によって帝国は全滅しました」
「左様か!お主は一旦騎士団を連れて王都に戻りなさい。騎士団長がそちらに1万の軍勢を率いて向かっているから」
「分かりました」
スザンヌ達は騎士団長が来るまでトーチカの中でのんびり待つ事にした。
帝国では5000の兵が一瞬で消え去り、貴重なSクラスの魔法師と騎士を一度に失い慌てていた。
しかも、5000人を率いて攻め込んだ総指揮者の筆頭公爵までも失ったのだ。
遠く離れた場所から帝国軍の斥候が戦況を見ていたが、何が起こったのか解らず
震えながら【身体強化】をかけて一目散に帝都アルベールに向かって逃げて行く。
「敵の斥候が逃げていきますが捕まえますか?」とルビーゼがスザンヌに聞いて来た。
「どうせ皇帝に報告でしょ?少し慌てさせるためにもほっといていいわ」
そんな会話をしてトーチカの中で昼ごはんを食べていると王家直属の軍隊1万人を引き連れた騎士団長アレクシアがリルセールの街に着いた。
街はいつもの長閑な生活をしているのに驚いたアレクシアがトーチカにやって来た。
「スザンヌ様、これは一体どういう事でしょうか?」
「やぁ、アレクシア御無沙汰!先ほど王妃様にもご報告したけど5000人は私たち4人で殲滅して外に200人の兵士を捕虜としたので王都に連れて行くか、帝国を更に進軍して攻め込んで停戦を引き出すかアレクシアに判断を任すそうよ」
「5000人の帝国兵の中には敵の筆頭公爵が総大将で例のSランクの騎士と魔法師がいた筈なんですが・・・」
「そうらしいわね、でも旦那様の【巨大インフェルノ】で骨も粉々に焼けて一瞬で灰になって消えてしまったは。あとは私が1000人をミンチにして肉片となって消えて、残りはマーガレットとルビーゼの魔法で1000人弱を殲滅して逃げた200人を捕虜にしたわ」
「我々の兵士はどうしました?」
「500人以上は別の国境沿いの警備に当て、副騎士団長のバレッサさんが40人
程度の兵士と王都に戻って王妃に戦況を報告しに帰ったところよ」とスザンヌがアレクシアに伝えた。
「それでどうするのこれから?更に攻め込んで少し帝国にお灸を据えてもいいわよ」
「我らは帝国軍から侵略された身なので1万の兵とスザンヌ様達と皇都近くまで攻め込み2度とプロバラ王国に戦いを挑まないようにしたいと思います」
とアレクシア。
「それでは軍勢を国境に向けて進軍させます」アレクシアは街から門を出て1万の兵に進軍を命じた。
補給は街に籠城する予定だったため、十分に確保しているので、すぐに国境を越え帝国の町々を踏破して進軍して行く。
帝国軍は殆どの主力部隊を帝都アルベールの守りにつかせているので他の地区では小競り合い程度で王国軍は帝都迄10キロの地点で陣をはった。
帝都に対してアレクシアが降伏書の書簡を送った。
皇宮内では斥候からの報告で一瞬にして筆頭侯爵と最大戦力のSランク魔法師と騎士を失った事に宰相と貴族達を交えて女帝が対策を練っているところだった。
「殿下、相手はたかだか1万の兵士達、対して我々は3万の軍勢がおります。籠城して戦えば決して負けることはありません。こちらから仕掛けた戦なので降伏するとなると、どんな条件を言い出されるかたまったものではありませんぞ」
「しかし、斥候の話によると4人程度の人間に最強の5000人が一瞬で破れたと聞くぞ、相手は我らが知らぬ人材を集めたのかも知れぬ」
アレクシアは降伏書簡が届いて丸一日回答が無く、時間切れとなったので4人に頼んで皇宮を攻め込む決断を下した。
「アレクシア殿、4人で城に行って、皇帝と話してくるから王妃様と連絡を取って条件を聞いてくれないか」とスザンヌがアレクシアに頼んだ。
暫くして王妃から連絡が来て『条件は白金貨500枚と今後一切国境侵略を認めない事。さすればこのまま兵を引き揚げさせる』との回答を貰った。
「よし、スザンヌお城に4人で向かうぞ!数人は【イレージング】で消せば相手もビビって降伏するじゃないか?」サトルがそう言って4人で城門の前に【転移】した。
門を守る兵士に取次させて城に入るが武器を4人と預からせてもらうと言われたが4人ともサトルが以前作ってあげた【次元ストレージ】に入れてあるので、武器など誰も携えてはいない。
4人が帝国の貴族、宰相、皇帝がいる大広間に案内され、一応礼儀を考え跪いて参上した目的を伝えた。
スザンヌが一応この世界では一番強いと思われているため降伏の条件を皇帝と宰相に説明する。
「お主らはプロバラ王国の人間では無いでは無いか!何故に加担するのじゃ?」
「王妃一家とは個人的付き合いもあり、王妃から家族同然に扱われてたまたま遊びに行っていたら貴殿の国から一方的な戦線布告があったので我ら4人で5000人
を片付けた。貴殿の国の貴族さん達が3万人いるから戦っても勝てると思うならそれでも構わないぞ、私が一瞬で3万の軍勢を消すだけだから」とサトルがわざと横柄な口調で皇后に向かって言い放った。
「貴様男の分際で皇后様に対して大ボラを吐きよって!」と宰相が言った。
「お前達の国は俺の事を知らないらしいが、俺はスザンヌより強いぞ!3万にいようがどれだけ強い魔法師、剣士が居ようが俺には叶わない、嘘だと思うならここにいる一番強い奴と俺が素手で相手してやるからその強さを十分に確認しろ」
宰相は皇后の顔をちらっと見て、皇后が頷くので「それなら我が国の騎士団長のドロシーと皇后の前で戦ってみろ、騎士団長はもうすぐSクラスになる強者だ」
「いいよ、俺は素手で一瞬で倒すぞ」
「私は騎士団長のドロシーだ。荷物持ちの男と戦いたくは無いが遠慮なく行くぞ」
貴族達や宰相が脇に寄り、スザンヌ達も端に寄った。
ドロシーが一瞬でサトルに肉薄して切りつけるが、サトルは軽く躱して素手で剣を持つ手を触り一瞬で気絶させた。
サトルがシールドをして背中に喝を入れて起こしてあげる。
何故か真っ赤になってドロシーがうな垂れ「負けました、貴方の名前は?」と女性らしく聞いて来た。
「俺か?俺はメッシーナ王国冒険者SSクラスのサトルだ、君の【縮地】と剣捌きもまあまあだったよ。まだまだ修行しないとね俺の奥さんには届かないよ、ねぇ、スザンヌ」とスザンヌに笑いかけるサトルだった。
宰相は男のサトルが一瞬で勝つとは思っても見ず、あわてて「この男を殺せ!」と
騎士団5人に向かって叫んでしまった。
だが5人が一瞬で消されて、全員が蒼白になる。
「宰相さん、ちょっと酷く無いか?皇后さんを含めてここにいるお前さんと貴族全員消してもいいんだぜ」
「サトル、そこまでにして!宰相殿我が夫であるサトルに牙を向けた事後悔しますよ」
「宰相殿、私の完全に負けなので約束通り彼らの話を聞いてあげてください」と騎士団長のドロシーが言う。
「ドロシーさん、俺は他の奴らを全員消しても君だけは生かしてあげるよ」とサトルがニコニコいいながら、「さて、皇后様、我らの力はお分かりになったでしょ?3万人いようが10万人いようが私達は一瞬で殲滅できる力があるのですよ、プロバラ王国もとんでもない条件を出しているわけではなく、お金と今後の不可侵条約を結べば撤退すると言っておるのです、あとは貴方の返答待ちです」
「サトルと云う者、分かった!宰相が大変失礼をした。許してくれ、別室で30分ほど待ってくれぬか。結論を出してお主らに伝える」
サトル達4人は別室の部屋に案内され待つ事40分ほど。
侍従長が来て先ほどの大広場に通された。
「スザンヌ殿、サトル殿我らは降伏条約を受け入れてプロバラ王国の条件に従う。
細かい事は特使同士で国境沿いで改めて条約を結ぶことにする」
「わかりました、懸命のご判断痛み入ります」とスザンヌが言って城を出た。
4人は陣を張っているアレクシア騎士団長のところに戻り、事の顛末を語って1万にの軍隊とともにプロバラ王国の王都に戻って行くのだった。
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