第34話 冒険者ギルドでの精算
翌朝4人で朝食をとり、揃って冒険者ギルドに向かった。
ネブロイの冒険者ギルドも朝は他のギルド同様掲示板と受付は冒険者達でごった返していた。
サトル達は昨日の受付嬢のところに並んで全員のカードを出し、ダンジョン制覇の精算をもらう。受付嬢がギルマスのところに案内するというのです2階に皆で上がった。
「キャシー様、スザンヌ様達をお連れしました」
「スザンヌさんお久しぶりです。さすがスザンヌさんのメンバーですね。古代都市ダンジョンを半日で踏破するなんて!」
「いやぁ~、うちの旦那様が殆どボスを倒してくれたから私達は見てるだけだったわ」
「あっ、貴方がキタミの怪物サトルさんね?初めまして、この街のギルドマスターのキャシーです」
「怪物では無いがスザンヌの連れ合いのサトルです。よろしく」
「それで精算金ですがすごい額になってます。白金58枚金貨90枚銀貨87枚銅貨95枚、それとスザンヌさんはこれでSSランクになってます。ローラ、スザンヌさんのカードの書換を頼むわ」
ローラと言われた受付嬢はスザンヌからカードを受け取り、サトルのカードも精算金を振り込むため二人のカードを受け取って階下に降りて行った。
キャシーとスザンヌにマレーナ教国の近況などを話しているとローラ嬢がサトルとスザンヌのカードを持って来た。
「スザンヌさん、貴女も身軽になったので時々はこの街にも又来て下さい」とキャシーに言われ4人はギルドを後にした。
「さてサトル、次はどこの街に向かう?取り敢えず教皇の居る皇都に向かって行かない?」
「そうだな、それなら次はブリベンとかいう街に行こうか」
サトル達は『具現の石』と『具現の水晶』を出し、馬と馬車にしてブリベンの街に向かった。
途中の村で小さな定食屋に入り昼食にする。
さすがに男性は一人も食べている奴はいない。サトルを物珍しい生き物を見る様に周りの女性達からジロジロ遠慮無い目つきで見られる。
サトルはさすがにさっさと食べてスザンヌ達を御者台で待っていた。
「サトル、何そんなに慌てて食べて・・・」
「いやぁ〜、さすがの俺も村の女性陣の目を見たらのんびり食べて居られないよ!」そう言って馬車を動かし始めた。
暫く行くとフォレストウルフが5匹襲って来る。
スザンヌが【サンダーボルト】を放って5匹の頭に雷を落として瞬殺した。
「スザンヌ様、今の魔法が新たに身につけた魔法ですか?」とマーガレット。
「新たにというか前から身につけていたけどそれさえ自分では認識してなくてサトルに教えてもらって発動できるようになったのよ」
マーガレットもルビーゼもその威力に驚いている。
夕刻近く前方に街の灯りが見えてきた。
「門が閉まる前に街に入るぞ」とサトルは少し急いで馬になっている『具現の石』に念を送り、女性の衛兵に冒険者カードを見せてブリベンの街に入った。
「まずは宿を押さえましょう!」とマーガレットが門を入るなり前方300メートルほど先にある”くつろぎ亭”という宿のかんばんを見つけて指さした。
建物も綺麗で、女性陣を正面におろし、サトルは裏に回って馬を元の『具現の石』に、馬車を元の『具現の水晶』に戻して正面に戻って宿に入った。
「サトル210号室がダブル、211がツインで銀貨2枚で取れたわ」とスザンヌ。
「各自シャワーを浴びたら直ぐに階下で夕食を取って街を散策しましょう」とスザンヌがルビーゼ達にも言ってサトルと210号室に上がる。
マーガレットとルビーゼも211号室に入りシャワーを浴びて着替えて食堂に降りた。
食堂は商人の商隊達10人程と護衛15人の人たちが食堂の半分を占めていて、あとは冒険者が7、8人いてそれなりに食堂は混んでいた。
幸い隅の方に4人がけのテーブルが空いていたのでサトル達はそこに座って男性店員にエール3杯と果実ジュース1杯をたのんだ。
「夕定食はファングボアの生姜焼き定食にケルピーのスープとパン、あるいはイエローテイルのムニエルにケルピーのスープとパンですがどちらにしますか?」と店員がオーダーを聞いてくる。
「とりあえずエールを追加で飲むかもしれないからその後で注文するわ」とマーガレット。
「俺だけ先にファングボアの生姜焼き定食の方で頼む」とサトルは肉料理を頼む。
「それじゃ、お疲れ様!」とスザンヌが言うと「ちょっとその前に3人のエールを冷やしてあげるよ」とサトルが3人のジョッキを魔法でギンギンに冷やして乾杯をする。
「いやぁー冷えたエールは最高ね!」とスザンヌ。
「サトル様が冷却魔法で冷やしてくれるエールは最高だわ」とマーガレット。
「すみませーん、ここエール3杯追加願います!」と3人はあっという間にジョッキを空けて追加する。
「俺がまだ半分もジュース飲み終えてないのに3人とも早すぎないか?」
「いやぁ〜、冷えたエールがこんなに美味いと一気に喉を通っていくわ」とスザンヌ。
サトルは離れた席にいる商隊の団体達の会話を何気なく聞いてみると、興味深い話をしていた。
”ブリベンの森のあの黒い沼はやばかったわね!恐らくあれは何かの魔物か魔族が潜んでいるわ、黒い水に掴まれたゴブリンが一瞬で沼に引き込まれてあっという間に消えてしまったものね”
”でも、魔力を感じられなかったわ、いったい何だったのかしら”
そんな声が聞こえて、サトルは明日にでも皇都に向かう途中で行ってみようと思った。
サトルの食事だけ先に来て、いい匂いのファングボアの生姜焼きだ。
スザンヌ達はやはり追加のエールを頼んでサトルに冷やしてもらってから飲んでい
る。
「スザンヌは皇都に行ったことがあるの?」
「ええ、女王様の護衛で行ったのとギルド統括会議で2度ほど訪れたわ、古い歴史のある佇まいで落ち着いた街よ」
「ダンジョンはあるの?」
「ええ、街なかに”迷宮のダンジョン”という巨大なダンジョンが有るわ。確か50階層ぐらい有るのではと噂では聞いたけど最下層迄行った人は誰もいないと言う話よ。何でも未だ14、5階層以上は行けてないと思ったわ」
「へぇー、そんな巨大なダンジョンが街なかにあったら魔物の氾濫があったら大変だな!」
「ええ、だから入り口には屈強な騎士団の上位の人たちが10人程で警備しているそうよ」
「明日はこの街の森にある黒い沼と皇都の”迷宮のダンジョン”目指して行くかな?」
「なあに?黒い沼って・・・」
「さっき商隊の連中が飲みながら話していたんだけどこの街にくる途中の森に黒い沼があって黒い水から黒い手が伸びてゴブリンを沼に引き込んでしまったそうだぞ、古代の魔物か魔族ではと噂話をしていた」
「この街も古くからある街だから古代魚や古代からいる魔物が生きながらえているのかもしれないわね」とスザンヌ。
「明日、この街を出る前にギルドによってから聞いてみよう」とサトルはファングボアの生姜焼きを食べながらはなした。
スザンヌ達はイエローテイルのムニエルを3人で頼み、追加で野菜サラダを頼んで食べ始めた。
スザンヌ達も食事を終え、ここでは誰からも絡まれることなく、4人で宿を出て街を歩くことにした。
「どうせなら冒険者ギルドに立ち寄ってサトル様がおっしゃっていた”黒い沼の件”を聞いてみませんか』
「そうだな、ギルドに行ってみるか」
4人は宿から20メートル程行ったところのギルドに入った。
夜でもクエストを終えた冒険者達が荷物持ちの男性を横に立たせてエールを飲んでいる。
受付にもクエストを終了して報告している連中が随分残っていた。
ルビーゼが受付の女性に「この近くの森の”黒い沼”についてお聞きしたいのですが」と言うと、受付嬢が「あの沼は常時クエストの対象になっておりますが未だ解決してません、対象がBランク以上になってまして今では近づかないように看板をだしております。原因もわかりません」という。
掲示板を見ると確かに載っており、”黒い沼の魔物討伐金貨50枚、原因究明で金貨10枚”と出ていた。
「よし!明日朝一でこれを受けてそれから皇都に向かうぞ!」とサトル。
サトル達は皇都のダンジョンを潜る時の食料等を買い出しして宿に戻って来た。
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