とにかく今日を生き抜きたい!!

@toronton

第1話 公園の水


「見つけた…」

かれこれ30分程探し回りようやく見つけた、

ここにたどり着く為にどれほどの苦難を乗り越えだろうか。

お目当ての場所は左側の通路の先にあった。

「ふう…」

どうして駅のトイレという場所はこれほど分かりづらいのだろうか、ただでさえこの駅は初めての場所なのに加えあの標識、結局何処に向けて矢印を指しているのか分からない、もっと人にわかりやすい標識にして欲しいものだ。道の駅を見習え。

「ん?…この感じ…」

この世に生を受けて21年、今回は数日は尾を引くであろう事まだせずとも理解出来る。

「くっ!!…」

ダメだ!!俺の穴はそんなウォーターカッターのような水圧には対応していない!!

だが始めてしまった物は仕方ない、なんとか出し切るしか無い!!!

「くぅぁ…」

なんとか終わったか…

しかし問題はまだある、それはこの後これをどう処理するかだ、紙で優しく拭いた場合確かに痛みは少ないだろう、ただそれで汚れを拭き取れるか?先の戦いで俺の穴が傷ついているのは明らか、それを紙で拭いただけでは危険では無いだろうか。

「………」

幸か不幸かこのトイレにはウォシュレットが付いている、ウォシュレットが付いていなければ汚れを取ることを諦める選択肢を取れていた、しかしこのトイレには、この現代文明における最大の発明とも呼び声高い文明機器が付いている、こうなってしまうと使う他ない。

そう思い恐る恐る洗浄ボタンを押す、

「あっ!!!」

しまった!!!俺はなんて事を…!!!!

「くぅっ!!!!」

強さ調整を…していない!!!

ダメだ!!このままだと俺が壊れてしまう!!!!

「くそ!!!」

痛みに耐えながらウォシュレットの止めるボタンに手を伸ばす。

「くっ…」

水は止める事が出来た、しかしまだ汚れを落とし切れていない事がわかる…

どうしたものか、しっかりと綺麗にしたいという気持ちは確かにある、だが俺の穴はもう一度耐えられるのか?

強さを最弱にしたところでこの機械のポテンシャルが分からない、もしかしたら想像以上の威力かもしれない、それを浴びたとき俺はどうなるんだ?

ただ以前テレビで観た痔ろうの映像、あれを思い出し俺は再びボタンに手を伸ばす。



「ふう…」

さっき公園でがぶ飲みした水が悪かったのか?

まだヒリヒリと痛むお尻を気遣いながらトイレを出る。

「あれ?さっき右から来なかったっけ?」

確かに右側の通路を通った筈だが、元来た道を見るとシャッターが降りている。

何かあったのか?

まぁ反対の通路からでも出られない事はないだろう。

そう思い元来た道とは反対の道を進む。




暫くすると道の先から人工の光とは違う眩い光が見えてきた。

「結構歩いたけど、これ何処に出るんだ?そのまま電車に乗って帰りたかったんだけど」

そんな事を呟きながら外に出る。


「あ?」

一目見ただけで自分の置かれた状況が異常である事が理解できる。

「これが異世界転生ってやつ?」

キュルルル…

お腹の調子は依然として良くない。

異世界の水は俺に合うだろうか。

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