第84話 嵐のごとく Ⅴ ①

【嵐side】


 今日は『ドラゴン・ファンタジー』のメンテナンスの為にプレイ出来ないんだよな。

 思えば、すっかりハマってしまったなぁ~。


 琥珀姉さんが『ライジング・サン』に加わったことで判ったんだが、パーティーには補欠枠があり戦闘中に負傷したメンバーと入れ代わる事が出来るそうだ。

 昔のRPGの馬車システムのようなモノだな。

 説明書もチュートリアルもすっ飛ばして見て無かったから知らなかった。

 なので星華と秋穂は、大洗おおあらい伊緒いお神栖かみす由美子ゆみこをゲームに誘いに行っていた。

 二人とも遠慮をしていたようだな。

 相談してくれても良かったのになぁ~。


 二人とも蝶子の配信を見ていたらしく、ふたつ返事で参加することに成った。


「女子率が、また上がったな !『眠れる羊たちスリーピングシープ』の男は3人で女が5人に成り、『風林火山』は男1人に女が5人、俺達も男を入れたくてロッキーと一緒に何人か誘ったんだが、何故か断わられてしまったよ。

 嵐も知っている奴がいるなら声をかけてくれよ !」


 巧に言われ周りの男達を見ると目をらされた。

 おい おい お前たち、そんなんじゃ妹たちと仲良く成れないぞ !

 だけど今更、俺が誘っても同じだろうし、誰か居ないかとあらためて周りを観察すると妹たち、明日菜、英里香、パラス、由利凛がニヤニヤしながら見ている方向を見ると、二人の世界を創っている恵利凛と只野が居た。


 アイツら結構良い雰囲気を出しているなぁ~ …………… !

 そうだ、只野を誘えば良いじゃないか !


 俺が二人の元に向かおうとしたら、妹たちに残念な奴みたいな目で見られていることに気が付いた。


 俺だって、馬に蹴られたく無いがゲームに誘えば只野と恵利凛の仲だって進むかも知れないだろう !


 あろうことか、星華や秋穂に蝶子までもが奴らの従魔ペガサス、ユニコーン、バイコーンをけしかける相談をしてやがる。

 聞こえないと思っているようだが、俺の『ゴッドイヤー地獄耳』は聞き逃さないからな !



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔



 最初は、戸惑いを見せていた只野だったが、恵利凛から誘われると恥ずかしながら OK した。


 しかし只野の名前が真亜頭マーズとはな !

 まさか奴の生まれ変わりでは無いよな !

 マーズは軍神マルスの別名だ。

 よく俺、軍神アレスと同じ神に思われるが別神なんだよ !

 アッチはカッコいい神に表現される漫画やアニメがあるのに、俺 軍神アレスは残念な神扱いの漫画やアニメばかりなのは納得がいかーん !


 まあ、そんな情報は聞かないし、念の為に『ゴッドアイ鑑定』で魂の色を見たが、普通の人間の魂だった。

 やれやれ良かったぜ、アイツとは犬猿の仲だからな !

 ヘパイストスに言わせると『似た者同士』だと言っていたが、俺とアンナ脳筋と一緒にしないで欲しい !


 只野が、ただのマーズで良かったよ…………駄洒落じゃ無いぞ !



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔



 次の日の放課後、さっそくログインした俺達はマーズと伊緒、由美子を待って居た。


 伊緒は『マオ』に、由美子は『ユーミン』になり職業は『テイマー』に成りたいらしく、今は『無職』だった。

 後で狩りを手伝ってやらないとな。

 マーズは『シリウス』になり職業は『剣士』

 俺と同じだな、恵利凛……エリーゼを守る為なんだとしたら立派な騎士に成るだろうな。


 …………しかし『テイマー』は、やっぱり人気職業だったんだな。

 蝶子の配信の影響の大きさは侮れないと云うことか !




 ───嵐は知らなかった、タヌキチぶんぶく茶釜の人気も影響していることに───

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