第83話 天界ウラ話 ②

【ハデスside】



 ついに、ついにバレてしまった。

 俺、冥界の大神ハデスと弟である海王神ポセイドンは正座をさせられていた。


「兄さん、やっぱりバレてしまいましたね。」


「弟よ、姉さん女神ヘラには隠し事は無理無駄無謀なのは判っていただろう」


 目の前には姉さん女神ヘラが部下からの報告書を読んで立っている。


 愚弟ゼウスより姉さん女神ヘラが天界を納めた方が良いと思うのは俺だけじゃ無いハズだ。


「誰が無駄話をして良いと言ったの !

 ハデスとポセイドンは姉さんの言うことが聞けないとでも言うのね !」


「「ヒイィィィィ、誤解だ、姉さん ! 」」


 なんでこの横暴な女神が姉なんだろう。

 親父クロノスを恨むぜ !

 と言っても愚弟ゼウス姉さん女神ヘラにバラバラにされて封印されたから復活は出来ないだろうがな。


「一応、言い訳を聞こうか、ハデス、ポセイドン。

 今度、私に嘘を言ったら………」


 ニコリと笑っているが、俺達には悪魔王サタンより悪辣にしか見えないわ !


 もちろん、素直に話したに決まっている。

 古今東西、神や悪魔の世界でも姉に逆らえる弟は居ないのだ。


 どうして『知恵の女神メティス』をゼウスから取り出したのかを !


 女神アテナの母に成る予定の人間、大江戸(旧姓 霞ヶ浦かすみがうら)勇気には出産に耐えられる生命力が無いこと。

 二度も産みの母を亡くす悲しみを姪であるアテナに経験させたくはなかったこと。

 アテナの母を救うには、女神が憑依転生した方が確実であること。

 アテナの母に成る女神の選別に時間がなかったのでゼウスに内緒でネクタルとソーマ神の酒と人間世界のスピリタスポーランドのウオッカゴッチェ・インペリアル イタリアのリキュールなどの強い酒をチャンポンして呑ませて酔わせて寝ている処で俺達二柱の神パワーでメティスに語りかけて協力して貰った訳だ。


 もちろん、アテナを生んだ後は子を成さない約束もしたから愚弟ゼウスを脅かす男は生まれ無いハズなんだ。


 それは、もう一生懸命に話したら姉さん女神ヘラは考えこんでいた。




 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕


【女神ヘラside】


 まったく、この弟たちは姪であるアテナには甘いわね。

 とある漫画、アニメでは敵対しているけどね。


 …………そういう理由なら怒る訳にもお仕置きする訳にもいかないわね。

 女神メティスも愚弟……旦那様天空神ゼウスの犠牲神だから、ここは見て見ぬ振りをしましょう。

 人間の生命など、高々100年程待てば良いだけ。

 我々、神々にとっては『夢また夢』程度の時間でしかない。


 メティスは約束を守っているようだし私も見守ることにしましょう。







 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕



【ゼウスside】



 愚弟、愚弟と兄貴たちが酷い !

 ワシ、グレても良いよね。

 姉であり妻のヘラも酷いが抗議したらお仕置きされそうだから黙っておこう。


 兄貴たちの企みくらい、ワシ判っていたモンね !

 今回は、業と騙されてやったんだモンね !

 可愛いアテナの為だから我慢してやったんだから !


 うむ、しばらくは呆けたフリをして仕事をサボれるな !


〖オ~イ ! ヘルメス、ちょっと来てくれ〗


 ワシがヘルメスに神メールを出したら直ぐに来た。

 うん、ワシ素直な息子は好きだぞ !

 アホなアレスも見捨てはしないがな、ワシ優しい !


「父上、御呼びでしょうか ? 」

 流石、オリュンポス12神の知恵の神だな。

 残念なアレスとは……


「うむ、しばらく地上に行き女神アテナやエリス、ついでにヘパイストスとアレスの様子を見に行ってくれ !

 それとポセイドンの孫パラスも居るからよろしくな !

 全員、人間に転生して修行中だから手出し無用だからな !」


「ハッ ! 父上のご命令、しかと承りました。

 それでは、行って参ります !」


 そう言い残し地上に向かうヘルメスを見送ってから昼寝をするとしようか。


 フッハハハハハハ、ワシが一番に頭が良いのよ !





 しかし、その様子をヘラのペットである小鳥に見聞きされていることには気付いていなかったゼウスでした。

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