第82話 嵐のごとく Ⅳ ⑱

【嵐side】


 待てよ ! 姉貴天音が来ているなら、クリスだって来てるかも知れない !

 俺が キョロキョロとクリスを探していると、


ケンシン君は、誰を探しているのかなぁ~。

 せっかくお姉ちゃんが、皆を助けてあげたのに『お礼』も言えないなんて、お姉ちゃんは悲しいわぁ~ 」


「「「「「「「「

お姉様お姉ちゃん、助けてくれてありがとうございました !

 」」」」」」」」


 俺以外のメンバーがお礼を言っていた。

 裏切り者ぉー ! お前達だけ良い子ちゃんぶりやがって !


「天……ミルキーお姉さま、助けて頂きありがとうございました !」


 もちろん、俺もお礼を言った !

 姉に逆らえる弟は居ないのだ !


「ケンシン君が探しているクリスは、リアルのお仕事が忙しいから当分はログイン出来ないわよ、残念だったわね」


 ミルキー天音姉ちゃんに、何故かバレていた……

 女性は勘が良いからなぁ~、由利凛にさえバレているみたいだしな。


「アハハハハハハ ! 情けねぇ~なぁー、ケンシンは !

 やはり上杉謙信の名前は返上した方が良いんじゃ………「随分ずいぶん、偉そうな事をいうように成ったわね、愚弟 !」


 カゲトラ龍騎の言葉を遮って現れたのは、琥珀姉ちゃんだった。


「ゲッ !こっ…………姉さんもゲームを始めたのかよ!」


「『ゲッ』とは、何よ ! りゅ……カゲトラは、私がゲームをしたら都合が悪い訳 !」


「ハハハ、そんな事ある訳ないよ、姉さん !」


 やっぱり、アイツ龍騎も姉には逆らえ無いようだな !

 見ると、クッパ玄武がジタバタと浮かびながら琥珀白虎の方に向かって行く…………空中移動も遅いのかよ。


「苦労したみたいだねぇ~……今は『クッパ』だってね。

 私も来たから安心してね、クッパ玄武


 無言で甘えているクッパ…………アイツ、おすめす、どっちだ ?


 何故か、俺の考えていることが判ったのか、カゲトラ青龍が、


「本来、俺達『四神』に性別は無いからな !

 人間に転生した結果、青龍は男に成ったし、琥珀姉さん白虎は女に成ったんだ。

 クッパ玄武は雄でも雌でも無いからな !」


 そんな琥珀姉ちゃんが、あらためて自己紹介をした。


「このゲームでの私は『ハクア 』職業は『テイマー』よ !』

 見ると、ハクアの隣にはクマが居た。

 金太郎の熊でも奪って来たのかと思っていたら、


「ココに来る途中で、ミルキーから貰った素早さを上げる『イヤリング』を落としたら、このホクトが届けてくれたんだよ。

 受け取ったら、『お礼に踊りますか ! Yes/No』と云う選択肢が出たら、ミルキーが『Yes をタップして !』と言ったから言う通りにしたらテイム出来ちゃったのよ !」


 イベントだろうか ? それと、クマなのにホクト……北斗か ?

 俺が不思議そうにしていると、ユカリン由利凛が教えてくれた。


「たぶん、琥珀お姉ちゃんは『大熊座』から名前を付けたのだと思うのじゃ !

 大熊座の腰から尻尾は、『北斗七星』なのじゃ !」


 ヘェ、知らなかったぜ。

 一応、知恵の女神だっただけあるよな、コイツユリリン


 ……何故か、ミルキーがタヌキチを抱っこしているが、たとえ天姉でもヤラないからな !

 同じように琥……ハクア琥珀カゲトラ龍騎のウサピョンを抱っこしていた。


 弟のモノは弟のモノだからな ! 姉のモノでは無いぞ !


 俺やカゲトラが、ジト目で見ていることに気が付いた二人は咳払いをして従魔たちを離した。


「 ケンシン……言いづらいから 何時ものように呼ぶけど、弟くん、私達『ライジング・サン』と『クラン』を創らない ?」


 ……クランって、何だ?

 俺の顔色を見て気が付いたユカリン由利凛


「 クランとは、主にFPS系オンラインゲームにおいてある一定の目的を持つ者の集団の事を指す。 最初は『Quake』においての集団を指す言葉だったものが、他のゲームにも使われるようになった。 主にチームプレイを望む者や、友人を作る為、同じ目的・思想を持つ者同士で集まるなどが主な加入目的である。 (ウィキペディアより抜粋)なのじゃ !」



「アメリカチームはアメリカチーム同士で『クラン』を創ったみたいなの。

 今後の攻略では別行動に成るから私達も仲良くなった弟くん達を誘おうと思ったのよ」


 俺に否やは無いが、仲間や妹たちを見ても反対する様子がなかったので承けることにした。


「『クラン』の名前は、弟くん達に任せるから、よろしくね !」


 天姉が、難題をぶん投げて来た !


『ライジング・サン』『『眠れる羊たちスリーピングシープ』『風林火山』


 誰か俺を助けてくれー !





 皆で話し合った結果、俺たちのクランは

『黄金の日日』に決まった。

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