第74話 嵐のごとく Ⅳ ⑪

【嵐side】


「 『テイマー』に成るな ! とは言わないが、情報ギルドの奴らの検証が終わってから、もう一度考えろ !」


「 現在、『一次職での『テイマー』が居無いから 二次職(副業)専用では無いか』と予想しているらしいぞ !

 最悪、テイムは一体しか出来ないかも知れないから慎重に成れよ ! 」


 ギレンとサナダに説き伏せられて冷静に成った。


「なら、スレイプニルを紹介してくれよ、ギレンロッキー !」


「何で俺が ! アンナ悪趣味な駄馬より自分で探せよ !」


 前世邪神ロキの記憶が封印されてもオーディーンの愛馬だったから過剰反応しているのかな ?


 アゲハはバイコーンの名付けに悩んでいるようだが、放っておこう……関わると面倒くさいことに成りそうだからな。


 そろそろ妹達もゲームの初期設定もすんでファーストの街で合流している頃かな ?


 妹達も俺達とレイドを組む約束をしてくれたし、ますますゲームが楽しみだな。




 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔


【由利凛side】


 アゲハ蝶子ちゃんの配信を見てから、皆がゲームをやる気に成ったのじゃ !

 本当は妾も遊びたかったのじゃが、恵利凛を始め明日菜ちゃんも英里香ちゃんも興味を持たなかったので言い出せなかったのじゃ。

 だけど、アゲハちゃんの配信を見てから認識が変わったのか、

 とにかく皆で遊べるのは嬉しいのじゃ !


 妾と恵利凛は、ファーストの街の噴水広場で三人が来るのを待っている……


「わぁー 凄いねぇ~、ユリリン !

 人間なのに仮想世界とは云え、創造神様みたいだねぇ~ !」


「エリーゼ、駄目なのじゃ !

 リアルネームは仮想世界やゲームでは、御法度ごはっとなのじゃ ! 」


「ゴメンナサイ、ユカリン !

 つい、うっかりしちゃった 」


 しょうがない姉なのじゃ……やはり妾が、しっかりしないとダメなのじゃ !

 アバターネームもリアルネームから少し変えただけど、違和感が無いと思うのじゃ。

 だいたい、お兄ちゃん達のネーミングセンスが可笑しいのじゃ !

 蝶子ちゃんの『アゲハ』はトンチが利いて感心したのに、男の子のセンスはなのじゃ !


 妾は『魔法使い』、エリーゼは『治癒ちゆ術士』を選んだのじゃ。

 妾達が後方支援職を選んだのは………


「ウワァー、凄い美少女が三人も居るぞ ! 」


「化粧箱を使ったのかしら ?

 使って無いのなら、リアル美少女だというの ! 」


「スタイルもモデル体型だから、化粧箱で いくら使ったのかしら ?

 もしリアルのままだったなら、神様は不公平だわ !」


 ざわざわと周りが騒ぎ始めたので、その方向を向くと三人がゆっくり歩いてきたのじゃ。

 三人が前に進むとモーゼの十戒みたいにプレイヤー達が道を開けているのじゃ !


「お待たせ……って、どうしたの ?」

 アリア明日菜ちゃんが不思議そうな顔して質問してきたのじゃ。

 ……自覚が無いとは恐ろしいのじゃ。


「 有象無象なんかが見ていることなんか、私達女神達は気にする訳ないでしょう !

 特に、この娘アテナは人間を贔屓ひいきしているからね 」


 エデン英里香ちゃんは、相変わらず強気なのじゃ。


「私は、アテ……アリアが居れば良いから、モブは気にしない」


 リアスパラスちゃんは、もう少し他にも興味を持った方が良いと思うのじゃが……


 ちなみに明日菜ちゃんは『ア』の字にこだわりが有るのかのう ?

 英里香ちゃんのは、不和と争いの女神エリスの黄金の林檎をヒントにしたみたいなのじゃ。

 パラスちゃんのは ? ……聞いてみたら、『アクエリアス』からリアスを抜いたらしいのじゃ !

 ポセイドンの息子トリトンの娘だから、水や海が好きなのかのう ?


 アリアとリアスは(ゲームでは『ちゃん』付けは、しないことに成ったのじゃ !)槍を持っている処を見ると『槍術士』を選んだようだけど…………エデンは、『銃』を持っているのじゃ !


「 弓道部だけど、日本では『銃』を撃てるのはゲームの中くらいでしょう。

 だったら『ガンナー』一択しかないわ ! 」


 …………ファンタジーなのに『銃』なんて良いのじゃろうか ?






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