第55話文化祭 Before ⑤

【由利凛side】


 妾が、大江戸姉妹をプロデュースしているのじゃ!


「明日菜ちゃんは『王子様系』、英里香ちゃんは『俺様系』、パラスちゃんは『無口なクール系』、恵利凛は『天然系』で演技して貰うのじゃ!」


「……そういう由利凛は『何系』なの? 」

 恵利凛からの質問に、


「妾は『小悪魔系』を演技するのじゃ」


 何故か、“じとっー” と皆が妾を見ているのは、妾の名采配に感動しているからだと思うのじゃ。


 食べ物はスナック菓子などで、飲み物はジュースだけど雰囲気を創る為にシェイカーに氷を入れてフル練習を皆でしたのじゃ。

 男子生徒は、何をやるかと云うと皿やコップを洗ったり整理券を配ったりの雑用をして貰うのじゃ、黒子の格好で。


 …………蝶子ちゃんは『スーパーヒロイン系』と言って誤魔化したけど、本当は『ピンク頭のヒドイン』をやって貰うのじゃ!

 演技指導しなくても『素』で出来るのは、記憶が封印されても愛の女神アフロディーテだった影響なんだと感心したモノなのじゃ。


 執事喫茶なのにヒロインヒドインは『変』かと思うけど、男子生徒の中には アア云う女の子ブリっ娘を好きな男の子も居るので、たった一人のヒロインヒドイン役に抜擢したのじゃ。


 この6人を中心にして、他の女子生徒はサポート役に回ることに成ったのじゃ。


「他にメインでやりたい女の子は本当に居ないのかのう?」


 星華ちゃん や 秋穂あきほちゃんに聞いたのじゃが 星華ちゃんが、


「アンタ達は、うちのクラスと云うより学園でもカースト最上位クラスだから、誰も争うなんて考えていないわよ。

 由利凛も含めて、潮来三姉妹も大江戸五兄妹も美男美女の集団で頭脳明晰、運動神経抜群!

 それでいて、誰にでも優しくフレンドリーだからね。

 完璧超人かと思えば、それぞれにお茶目な処があるから憎めないし、どれだけ属性持ちなのよ!

 神様は不公平だと、つくづく思ったわ!

 アンタ達は、よっぽど神様に愛されているのね」


 …………ここで 妾たちが全員、神や女神だと言ったら どんな顔をするかのう?

 ウズウズと悪戯心いたずらこころが湧くけど、我慢するのじゃ。


「 ねえ、ねえ、源氏名は決まったの?

 流石に本名だと気分が盛り上がらないから、絶対に付けた方が良いと思うの」

 秋穂ちゃんの意見に対して納得したのじゃ。

 やはり人の子の知恵は素晴らしいのじゃ。


「そこまで考えて無かったのじゃ!

 良かったら良い源氏名を考えてくれると嬉しいのじゃ」


 妾が源氏名を付けても良いけど、英里香ちゃんは文句を言って来そうだから丸投げするのじゃ。


「ハァ、今度は何時、逢えるのかなぁ~ クリス」


 その前に嵐お兄ちゃんを何とかしないと……

 恋する男の子は めんどくさいのじゃ。

 年上のお姉さんに恋するなんて、テンプレすぎて笑え無いのじゃ。


 ガラ ガラ ガラ ガラ ガラ


「コラァー!

 とっくに始業ベルは鳴っているんだぞ!

 皆、席に着きなさーい!」


 お母ちゃん由利子先生が教室に入って来た………

 両脇に伊緒ちゃん と由美子ちゃんを抱えて……

 だから忠告したのに、お母ちゃん由利子先生に偵察なんて無理無駄無謀だと、ヤムチャしやがって!


 そして、お母ちゃんの後ろから知らない若い女の人が居たのじゃ。

 その女の人が………………………………なのじゃ!

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