第53話文化祭 Before ③

【由利凛side】


「ハァ、今度は何時、逢えるのかなぁ~ クリス」


 朝からお兄ちゃんが変なのじゃ。

 英里香ちゃんに聞いたら、


「嵐お兄様が『変』なのは、何時ものことでしょう」


 と、素っ気なかったのじゃ。


 そんな妾を見て、巧お兄ちゃんが教えてくれたのじゃ。



 ───回想を開始するのじゃ───


【巧side】


 エリアボスを倒した俺達は、無事に子供達を送りNPCの両親に渡した処でクエストをクリアしたことが通達された。

 クエスト報酬は別にあり、『優しき英雄の卵たち』の称号を貰った訳だ。


 臨時パーティーを解散する時に嵐がクリスに、


「クリス、良かったら俺達『眠れる羊たちスリーピング・シープ』に入ってくれないか?

 何だったら、パーティーリーダーの『座』を渡しても良いぞ!」


 パーティーの枠が二人分空きが有ったから誘った……風を装っていたが、嵐はバレてい無いと思っているのだろうか?

 素直に『好きだ! 付き合ってくれ!』ぐらい言えば良いのに!


 ジィィィィっと、俺の目を覗く由利凛……何かしら言いたげな顔をしている。


「どうした由利凛、何か聞きたい事があるのか?」

 と聞いたら、


「……何でも無いのじゃ、話の続きをして欲しいのじゃ」


 変な奴だなぁ~…………まあ、話の続きだが、


「 ごめんね、今のパーティー『ライジング・サン』の仲間も大事だから君たちのパーティーに入る訳にはいかないんだよ。

 それと、しばらくの間、プライベートが忙しくなるから ログイン出来なくなるんだ」


「プライベートなんて言ったって私達と同じ学生なら、たかが知れているでしょう!

 勿体ぶっちゃって、嫌らしいんだぁ~!

 そんなに嵐くんの気を惹きたいなんて、蝶子は許さないんだからねぇ~!」


 毒づく蝶子に対して怒らずにクリスは、


「うん、学生は合っているけどね。

 実は就職活動をしないとイケないからゲームは、しばらくの間は出来なくなるんだよ」


 やはり年上だったか、蝶子の挑発にノラ無いで、にこやかに?対応していたから予想していたが、思ったより年上だったな!

 高校生では無く、大学生か?

 ゲーム内は、ポリゴンで処理しているから、シワやシミも無いから年齢が分かりにくいんだよな。


「 クリスって結構、年上なのか?

 てっきり、同い年くらいだと思っていたよ!」


 嵐のアホは、やはり気がついていなかったようだな。


「アッハハ、お世辞として受け取っておくよ。

 わたしは、これでも大学生の三回生なんだよ。

 だから、そろそろ就職活動で忙しくなるんだ」



 ──回想、終わりなのじゃ!──


【由利凛side】


「つまり、嵐お兄ちゃんはフラれたのか? 巧お兄ちゃん

 いいように、アシラワれたようにしか聞こえなかったのじゃ!」


 グサッ!! と音がした気がしたので、嵐お兄ちゃんを見ると胸を押さえて震えて居たのじゃ。


 もしかして、妾 またヤっちゃったかのう?


「とっ、ところで由利凛!

 文化祭の出しモノは決まったのか?

 あの後、俺達、男子は帰った後に女子だけで話し合ったんだろう?

 蝶子の奴は、バックレた逃げ出したみたいだけどな」

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