第8話 最終話 その先へ
「そう。もう 国境なのね 外国なんて初めてだわ!
よかった 国外追放としてじゃなくて!
お父様やクレアにもお礼を言わなくちゃね
あ もちろん ヒビキにもね、ありがとう」
「いいえ どういたしまして」
ビクトリアはヒビキから離れて 窓のそばにより外を眺めていたが
ふと 振り返る
「ねえ ヒビキ こちらの国にも学校はあるのよね?」
「もちろん あるでしょうね」
「わたくし、 王立学園をやめてこちらの学校に来ることは出来ないかしら?
卒業パーティで、また王子にあんなふうに断罪される可能性があるなら、もうやめてしまってもいいわよね?」
「姉上…」
悲しげな顔で言うビクトリアに ヒビキは、はっとした顔をした。
しかし すぐに 気を取り直し ビクトリアの手を取る
「そうですね この旅の間に調べて 父上にも相談してみましょうか
どんな学校なのかにもよりますしね
平民ばかりでは 姉上のポンコツぶりに拍車がかかるでしょうし
あまり レベルの高い学校では姉上はついて行けないでしょうしね」
「ヒビキは意地悪ねえ」
ビクトリアが笑った時に 馬車が道からそれて止まった。
ヒビキが窓の外を確認する。
「さあ 国境です。 降りますよ 姉様 お手をどうぞ」
「ありがとう」
ビクトリアが立ちあがり 開いた扉から外を見る
「ここが 国境なのね?
ふう
あら? あそこに誰か倒れているわ?子供?
ヒビキ 見て来てくれるかしら?」
「はい 姉上」
ヒビキは護衛に合図して 護衛と共に倒れている子供らしき人影の方へ向かう
歩きながら ヒビキは 護衛に聞こえないくらいの小さな声で呟く
「… 国境を渡ったとたんに 子供が倒れているとか、おかしくないか?
あれ? さっき姉上 こちらの学校へ来たいとか言っていたな?
姉上の性格も小説とは全く違うものになって 意地悪なんてするはずもないし
裏から手を回す なんて小細工ができるような鋭さも賢さも無い でも とても 可愛らしい女性に育っている。
友人関係だって 類は友を呼ぶでホチャホチャしている子ばっかりだった。
僕はボッチどころか 友達も多いチャラキャラだし 母上も健康で家族も仲良し。
それなのに 王子の糾弾劇は起こってしまった。
物語の支配者はまだ エリザベスの悪役令嬢化を諦めていない?
国境を渡ったのが ”国外追放”と認識された のだとしたら
刊行予定だった 「アイ綺羅 ユースチス編」の世界に入ってしまった という事だろうか?
そういえば【あの悪役令嬢再び!】なんてコピーがあったような気もする
クレアも続編があるって言っていたしな…
クレアが、ビクトリアが国外追放されたその後の夢を見たって事、父上にも報告したよな?
あ~ あの禿おやじ!じゃなくて 父上 国外旅行に浮かれて忘れたんじゃないだろうな?」
ぶつぶつ言いながらも 倒れている人物に近づくと やはり 子供の様だ。
うつ伏せに倒れた 青い髪の子供。
服装は黒一色。
ヒビキは用心深く その子供に手をのばす
「この子供 拾うべきか 拾わざるべきか ふうう
こんな時 スマホがあったら父上にすぐに確認できるのになあ…」
先ほど最愛の義姉が王子に糾弾されました~夢見(偽)の伯爵令息は義姉を悪役令嬢には致しません TO BE @tobetakako
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