第九話 ゲームブック(九頁目)
のたのたとした作業だったが、おおよそ集まった
騎士アロロの元に集まった義勇兵達。
戦士10名
魔法使い2名(さや含む)
賢者6名
偵察者4名(ノブ含む)
魔法剣士4名(ユウ含む)
以上、合計26名だ。
ノブ以外は全て三期生であり、一番高い者でもLvは5である。
魔法使いの集まりが悪いのは、魔術師組合の影響もあるのだろう。錬金術師は何を考えているのかは分からない。
しかし、多数との戦いにおいて魔法使いの魔法がないのは致命的である。この世界において魔法とは火器に等しい。最も火力の大きな攻撃手段の一つなのだ。
冒険者以外の戦力はNPCの騎士団の兵士が30名。正直彼らの戦闘力はそんなに高くない。
正面から戦うと、Lv1の戦士にもまず勝てないだろう。
それは一刀の元にゴブリンを両断する怪力であり、腹を突かれてなお死なない生命力だ。
それに比べて兵士は割と現実的な非力さだ。
しかし彼らは全てが馬を操り騎乗する事ができる。それぞれの役割をこなせばゴブリンの100匹などすぐに壊滅させられる、はずだ。
「まぁ……なんとかなるよなぁ」
ぼそりと呟くと、さやが反応した。
「さあーどうかな?大きな魔法陣描く時は、ちゃんと守ってね」
さやの大魔法は、その絵の規模と、イメージ。そして注ぎ込むMPの量で破壊力が決まる。
敵の前で大きな絵を描くって時間もかかるし無防備だ、割と度胸がいる気がする。
そうしていると、ノブが帰って来た。ずかずかと歩み寄り、そのままアロロに向けて告げる。
「ゴブリンが500、地下墓地に集結している」
……
「うーん」
木箱のテーブルを囲んで、アロロとノブ。そして俺たちが考え込んでいる。
偵察に出たノブは、地下墓地にゴブリンが大量に集結しているのを発見した。半数以上はアンデッド化しているそうだ。
昼間っからガラガラと運んでいたのはゴブリンの召喚触媒だったのだろう。
「地下墓地で魔物の召喚が可能だったとはな」
どうやら、それも皆知らなかったらしい。となると、普段立ち入り禁止っていうのも魔術師組合の作戦だったのかもしれない。
「500匹ってほんとに数えたの?」
「しらねぇ、だいたいだよ」
「ふぅん」
偵察に出たノブが、気づかれなかったのは幸いだ。いや運では無いだろう、さすが高レベルの偵察者だ。
「ガリオスさん達に連絡は取れないのかな?」
攻略組に助けを求める事は出来ないんだろうかと俺が尋ねる。
「無理だな、通信手段が無い。それに予定だと、もう三階層に居るだろうし徒歩で知らせに行けるやつもいないだろ」
しばらくは帰って来ないだろうし、援軍は期待できないな。
「地下墓地の出入り口を、なんか崩しちゃって、閉じ込めたら?」
「ああ、それだったらバリケードを張るとかもどうなんだろ」
彼女に提案に乗っかってみる。
「それは良いかもな、崩すのは難しいけどバリケード位ならできるか」
「封鎖して、持ちこたえられるのか?」
アロロが聞いてくる。
「おそらく、ネクロマンサー……魔術師組合の魔法使いも居るだろうから、完全に閉じ込めるのは難しいかもな」
うーん、と皆が腕を組んで首をひねる。
こうしている間にも、ゆっくり北からゴブリン軍団100匹が南下して来ているだろう。
そして足元にはゴブリン軍団500匹。
厄介なのはおそらくどちらも、魔術師組合の魔法使いも付いている事だろうか。
両方対処しなければならないが、誰がどう対処するかが問題だ。どちらも負ける訳にはいかない。
ふと、さやがこちらを見ているのに気がついた。ユウくーんと目で訴えている。
それに気がついた騎士アロロがむ、何かあるのか?と話を振ってくる。
何か案を出さないといけない流れなのか?
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