目覚め2
アニムは続いて「文化力」の項目を確認していった。
文化力のポイントは、活力ポイントが毎ターン蓄積されていき、一定数を超えると入手出来るようだ。
こちらは土地から産出されるので、ターンを待つか、
それとも加速するには、他から土地を奪ってくる他ない様に思われた。
「文化力」の方も「科学技術」と同じようにツリー形式になっていた。
「軍の誉」「宗教」「料理」の三叉だ。
文化ツリーは、多少違う部分もあるが、もともとCOKにあったシステムである。
COKでは、科学技術の発展も文化ツリーに含まれていた。
COKの開発陣としては、科学の発展も、文化の一つと言う事であろうか。
ここにきて、何故分離されているのかはアニムには解らないことである。
しかし、COKでは文化的な物を建てる、作る事で文化Pが溜まっていく仕組みであった。
文化的な物の具体例は、円形競技場や、モアイ、ブドウ畑など、その文明によっても違っていたりした。
もし、COKそのままであったなら、アニムはこの国で文化的な物ってなんだ?
という疑問と戦う必要が出てくる。
そういう意味では、土地から活力が出て、それが文化へ、という方が仕組みとしては解り易くはあった。
戦う必要はないにも関わらず、アニムは文化的なものをつい考えてから、そういえばゲームも文化だな、とそんな事を考えた。
ゲームという物の歴史は、存外異様なほどに長く、カードゲームであってもAD1300年代のイタリアにはトランプが産れたとされ、ボードゲームなどに至っては、バックギャモンというボードゲームが、BC2000年頃産れていた。
さらに、これが最古と思われていたが、BC3000年代にはエジプトでメーヘンや、セネト、BC5000年代には、トルコでサイコロが見つかっている。
そこまで考えた時点で、アニムは、ふと我に帰った。
(だから何だというんだ……。)
こんな良く分からない事を考えている時点で、集中できていない証拠である。
アニムは自らに呆れて、ため息を吐いた。
「疲れた。……面倒だな。」
色々な事がありすぎる上、様々な事を考察するも、何一つ答えが出ない。
アニムは、うんざりし始めた。
「もう、適当でいいかな……? ひとまず、オレ、オマエ、ナマデ、マルカジリは回避したい……。料理に振っておくか。……どうせ、いずれは振るはずだろう?」
アニムは投げやりに、ポイントを振った。
アニムは、クニシラセで手札を確認した。
波止場の巨漢用心棒
月光の天使ティ
知識の本流
極光
真面目な法務団
貪り食らうエクスタビ(ターンドロー)
「貪り食らうエクスタビ」が手札に加わったらしい。
彼女は、魂の味に魅入られた美しい貴族令嬢のゴーストだ。
EOEには、世界観を表現するメインストーリー、そしてカード個々に存在する、バックストーリーが存在している。
そのバックストーリーでは、不治の病で亡くなった貴族令嬢として描かれていた。
そして彼女の死を悲しんだ父親が、外法によって蘇生を試みるが失敗。
蘇生のために必要とされた、100人の生贄の魂に魅入られた彼女は、国中の人間の魂を食らい尽したとされる。
※R貪り食らうエクスタビ 闇闇闇③ ホラー・ゴースト
飛行
ユニットが破壊されるたび、ターン終了時まで、貪り食らうエクスタビは+2/+2の修正を受ける
4/4
FT--------病弱な彼女。拒食症の彼女。今では立派な過食性。
アングス組合、長すぎる「撤退」の符丁
本来であれば、大書庫が場にあるので、知識の本流を使っても良かったが、手札の枚数に不安があるわけではない。
※大書庫 無属性土地 無属性マナ 貴方の手札は上限がなくなる
※知識の本流 X水 Xは幾らでも、どの属性マナでも支払える。
貴方はX枚カードを引く。
アニムは、エクスタビと、真面目な法務団を召喚する事にした。
UIボードをタップすると、召喚場所の選択を聞いてきた。
法務団は城内へ。
MAP画面を確認すると、ソール・オムナス城内に黒い光が集まり、法務官達が召喚された。
(こういう感じに召喚されるのか……。)
召喚された彼らは、仕事を探しているのか、セカセカと城内を歩き回り、現状把握に忙しい様だ。
次にエクスタビを召喚する。
どこでも良かったがイメージを先行させ土地:フレーメンの地下墓地・ヒエメス〔地底湖畔(水OR闇)+墓地(闇)〕に召喚した。
アニムがMAP画面でヒエメスを注視すると、墓地に黒い光が集まりエクスタビが召喚された。
エクスタビには、ゴーストであるが足が生えている。
EOEのゴーストは、イラストレターの違いだろうか。
ゴーストであっても、足のあるタイプと、足のないタイプがいる。
その明確な理由は、アニムにも良く分かっていないし、これまでは気にした事も無かった。
アニムはエクスタビを見ている。
淡く青い長髪に、アザミの花を思い起こす、赤紫のドレスを着た死霊の貴族令嬢。
(……!?)
死霊でありながらも、誕生に感謝しているのか。
エクスタビは悠然と空を見上げると、長いスカートの裾を持ち、美しい一礼をして見せた。
すらりと伸びた両足のつま先が、きれいに揃った背筋の通った立ち方。
そして、貴族らしい、そつの無い美しい礼である。
ただし、その向きは今、まさにアニムがクニシラセを通して、上空からエクスタビを見ている方向であった。
それはまるで、アニムが見ている事を承知しているかの様な行動であった。
(……)
アニムの背筋に冷たいものが流れる。
「……いや……いずれにしろ、暫くは
「お待ち申し上げておりますわ。」
アニムが呟くと、突然、耳元で声がした。
初めて聞く、澄んだ、しかし、体の芯まで凍りそうな冷気を感じる声。
画面を見ると、いまだ、エクスタビはこちらに頭を下げている。
故に、この場にはアニム、そしてジルコニアしか居ない筈だった。
アニムは恐る恐る振り返り、声のした方を見る。
(……誰もいない。)
正面に戻り、画面に目を移すと、そこには誰もいなくなっていた。
(…………。)
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