それでも勇者を救いたい～最弱職「幻術師」の少年は世界を騙す～

　職業としての『勇者』がある世界で、勇者に憧れる少年が主人公の物語。が、10歳になると行われるステータスを確認する儀式で、主人公は『勇者』では無く『幻術師』の職業だと判明してしまう。一方で、幼馴染の少女こそが正真正銘『勇者』の職業を授かるのだった。
　勇者という華々しい職業に対して、しかし、周囲の反応は主人公の予想とは異なる。聞けば、どうやら勇者には過酷な宿命と理不尽な未来が待っているようで…。
　これは、幼い約束を胸に秘めた少年が幻術で人々を、世界を欺く物語──。

　一人称で進む物語はまず、とても読みやすいです。口調も淡々としながら随所に主人公“らしさ”がある。そのためスッと世界観に入り…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（159文字）

作中における「幻術師」の評価や立ち位置、戦闘を劇の演目に例えて作戦を練る主人公など、凝った設定と演出で魅せてくれる作品です。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（218文字）

勇者を目指す少年アルス。
初恋の相手にまとわりつく、哀しい運命を変えるために。
最弱と言われようが腐らず、己のジョブに応じた闘いの術を身につけ、心身を鍛える。
まだ幼い少年の前向きなところに勇気をもらえる作品です。
彼の作り出す儚くも楽しき幻想は現実社会に生きる我々に何を見せてくれるだろうか。
湿っぽくならない淡々とした文体も魅力的です。

勇者を夢見ていた少年アルスだったが、儀式の日に与えられたジョブは、まさかの最弱職。幻術師は攻撃能力が一切なく、幻を見せるだけしかできない。

一方、幼馴染のシンシアは勇者のジョブを与えられる。しかし周りの雰囲気は、思っていた反応と違っていた。

勇者が必ず死ぬという現実。
それを知ったアルスは、シンシアにある約束をする。

幼い恋心が、世界を、勇者を、魔王を、すべてを騙す。


ヒロインが勇者で、幼馴染の主人公が最弱職の幻術師、という。一風変わった設定。
主人公がどのように、少女の命を、笑顔を守るのか。

異世界ファンタジー好きにはオススメの作品です！

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（252文字）

一般的に勇者というものは華々しいもののようであるが、この作品では違う。

世界を守るため戦った後に世界のために犠牲にならざるを得ない不遇の存在……。
そんな勇者に選ばれてしまった幼馴染を守るため、最弱と呼ばれる幻術師の少年が一途に努力する。

主人公のひたむきさに目が離せなくなるストーリーです。
世界の不条理さ、そしてそれを乗り越えようとする主人公の心の強さ。
序盤では王道のハイファンタジーと思わせ、不条理さを持ってくる……そしてそこから希望を掴み取ろうとする流れがとても好きです。

勇者となった者は二十歳までに必ず死ぬ世界。最弱職である幻術師となった少年は、幼馴染であり勇者となった少女を救うために、幻術師として強くなることを決意する。

少女との約束を果たすため、最弱職だと笑われても努力を積み重ね、世界の理に真っ直ぐに立ち向かおうと成長していく主人公の姿にどんどん引き込まれていきます。
次々と、読み進める手が止まりませんでした。

これから、アルスにどんな試練が待ち構えているのか、それをどのように乗り越えて、成長していくのか、非常に楽しみです。

皆様も、最弱職の幻術師の少年の成長物語を是非ご一読ください。

（企画から来ました。三章までのレビューです）