Stage3-1 楽園
楽園というのは、どこのことを指すのだろう。
尽きない金が湧き出る世界。
一度口にすれば手が止まらない美食に溢れた世界。
才能を与えられ全て無双できる世界。
苦しみなどない思い描く天井の世界は人によって変わるだろう。
そして、俺にとっての楽園とは――今まさに目の前にあった。
「オウガく~ん! こっちで遊ぼうよ~!」
満点の笑みでこちらに向かって手を振っているマシロ。
彼女はなんと大胆にも黒ビキニだ。
谷間が作られており、彼女のはち切れんばかりのメロンを包み込むには少々頼りない。
腰に巻かれているパレオも透き通るレース状の生地で、逆に隠されている太ももがなまめかしくなっている。
それでも下品に思えないのはマシロの太陽のような笑顔がいやらしさを浄化しているからだろうか。
「オウガ、冷たくてすごい気持ちいいよ! いい汗かこう!」
マシロの隣にいるフィアンセのカレンもまたビーチボールを持って、遊ぶ気満々である。
彼女は胸を包む白のフリルが特徴的な水着を着ていた。
だけど、ご立派な胸を支えるようにビーチボールを持っているため、フリルでも隠せないくらい横乳が主張していた。
むしろ普通に着ているよりもエロい。
手に持ったビーチボールで遊ぶのだろうが、本当に運動して大丈夫か?
まろび出てしまいそうでこちらとしては心配になる。
「オウガ君。みなさんも待っていますし、準備運動もその辺りにして行きませんか?」
そう声をかけるのは新しく俺の義姉になったレイナ。
彼女は胸元を露出しないようにラッシュガードを羽織っているため、トップスは見れない。
だけど、なにも女性の魅力は胸だけじゃないのだ。
ラッシュガードは少々サイズが大きいものを選んだのか、パンツ部分が隠れている。
つまり、ラッシュガードから健康的な生足が生えている形。
その両脚が描く流線美は見る者の視線を釘付けにする芸術品。
太ももからつま先まで視線が降り、そしてまた昇っていくとレイナが挑発するようにラッシュガードをつまんで上げていた。
見えるか見えないかの瀬戸際でこちらを焦らすようにめくる手を止めた。
これがシュレディンガーのパンツ……!
「あらあら。ダメですよ、オウガ君。そんなに見ては」
当然、それだけ熱視線を注げば気づかれるわけで……イタズラが成功したレイナはクスクスと笑った。
降参だと、俺は両腕をあげる。
これ以上やっても俺が逆転勝ちするのは難しい。
「レイナ様。お戯れはその辺りで……」
その様子を一部始終見ていたアリスがそれとなくたしなめる。
彼女はパラソルを立て、その他にも俺たちが砂浜で快適に過ごすための設営を行っていた。
相も変わらず律儀に働いてくれるのはありがたいが……そんな彼女を見て、俺は一点もの申したい気持ちがあった。
「……アリス。どうして水着じゃないんだ?」
そう。アリスはいつもと変わらぬメイド服を着用していた。
暑さが厳しくなってきた中で長袖でも汗一つ見せないのは流石だが、俺にはたくさん見せてもらいたいものがある。
アリスもみんなに負けないほど素敵なスタイルをしている。
三人の水着姿も楽しみだったが、俺はアリスの水着も同じくらい楽しみにしていたのだ。
それなのにこの仕打ち。
少々ガッカリしたのは致し方ないだろう。
「私はオウガ様のメイドでございます。役職を放棄するわけには……」
「今だけは気にしなくていい。一緒に時間を楽しめ」
「ありがたいお言葉ですが、恐れ多く……」
「気にするな、アリス。言っただろう、もう忘れたのか」
俺の悪役生活の記念すべき第一歩となったあの日。
闘技場にてアリスに送った言葉を。アリスという名前を付けた意味を再び口にする。
「お前の名前はヴェレット家のルールに沿って名付けた。――アリス。お前は俺の剣であると同時に家族でもあるんだ」
だから、遠慮せずに水着になってお前のおっぱいも見せてくれ。
あと、贅沢は言わないからバキバキに割れた腹筋も。
俺は知っているんだぞ。
早朝の実戦トレーニングで汗をシャツで拭った際に、チラリと見えたからな。
「……オウガ様! 私は、私は……!」
アリスはわかりやすく感涙し、ダバダバと洪水のように涙を流し始める。
うん、感激してくれるのは嬉しいんだけどね。
早く水着になってくれた方が俺はもっと嬉しいかな。
「……それでは醜いものを晒してしまいますが――」
「ああ。ひとまず作業は置いて、着替えに」
「――失礼いたします!!」
「……ん?」
俺が制止する暇も無く、アリスはその場で勢いよくメイド服を脱ぎ捨てた。
当然、下に水着など着けているわけもなくあらわになるのは下着姿の彼女。
胸元は幾重にも巻かれたサラシ。
下は腰の両端で紐で結ぶ大人な紅色のパンツのみ。
当然、俺が望んでいた腹筋も隠されることなく、堂々と太陽の光を浴びている。
想像していたよりもすごいものを見れてしまった俺は思わず無意識に拍手をしていた。
ブラボー、アリス。お前は最高だよ……。
「ア、アリスさん!?」
「その服装は流石に刺激的すぎる……!」
とんでもない行動に驚いて突っ込むマシロたち。
マシロは慌ててアリスのもとに駆け寄ると、彼女の腰元にパレオを巻く。
少しでも隠そうと処置したのだろうがパレオから透けて見える分、余計にいやらしくなっていた。
当の本人は全く気にした様子が無いのが面白い。
俺はそんな光景を安らいだ気持ちで眺めていた。
マシロ、カレン、レイナ、アリス……。
これだけレベルの高い美少女たちに求められ、囲まれている。
前世ではまずあり得なかったシチュエーション。
これこそ俺が描き、欲し続けたパラダイス……!!
最高のひとときの始まりに笑みは隠せなかった。
◇しばらく頑張ったオウガにご褒美あげます。その後、また頑張ってもらいます◇
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