ストーカーはスポーツマンシップを知らない
「いや〜今日は大変だったな〜」
今日は個人的に濃い一日だった。久しぶりに誰かと買い物に行ったが案外楽しいものだな。
そういえば、もうすぐ生徒会選挙か〜昨年度の生徒会選挙は大変だったな。
候補者は比較的多い人数だったが、最終的には綾華さんが当選した。しかし、完全な勝利ではなく、綾華さんと接戦をした先輩が一人いた。
今日、生徒会室に来た先輩は確か綾華さんと接戦した先輩の応援演説者だったな。
今回は選挙委員会側に回ったのか。今回も大変そうだな。
まあ、俺には関係無いがな。
そんな事を考えているとトントンっと扉の叩く音が聞こえる。
「ここはトイレじゃないぞ〜」
「でた、自称マナー講師」
「自称した事無いんだが?」
ひょこっと扉から覗いているのはイリスだった。服装は風呂上がりなのでいつもとは違う薄いTシャツに短パンというラフな格好だ。それに肌も少しだけ潤っておりいつもより妖艶さが増している。
「何のようだ?」
「ゲームやろうぜ!」
右手に持ったコントローラーと左手に持ったゲームのカセットを見せつけてくる。誘い方が夏休みの少年なんだよ、それ。
「ちょっと待ってろ、椅子出すから」
「その必要はないぜ、少年」
「お前のテンションなんなん?」
テンション高いな〜夜なのに。もうすぐ良い子は寝る時間になるのに。
イリスは俺の座っていた椅子に座り、手招きしてくる。
「さぁ、ここに座るがいい!」
そこにはいくらお金を払っても座る事の出来なさそうな椅子ができている。
「それじゃあイリスがゲームやりにくにだろ?」
あの誘惑に惑わされてはダメだ。あくまで平然と振る舞う。まあ、感動で身体が少し震えているが。
「勇ちゃんの太ももの上ぐらいに腕置いて固定すればそんなだよ?」
お願いだからOKしないで〜誘惑に負けちゃうから〜
「あ〜でも、勇ちゃんの息子さんがおっきシちゃうとやり辛くなっちゃうか」
「セクハラでお前の上司に言いつけてやるぞ!?」
コントローラーを置き下唇に指を置いたと思えば爆弾発言。お願いだから、容姿と発言内容を一致させてくれ。
結局、椅子をもう一つ用意しゲームを始める。やるゲームは世界的に有名な格闘ゲームだ。
ちなみにイリスは普通のゲームコントローラーで俺は格闘ゲーム用のコントローラーだ。
「オンラインの時は負け越しだけど今日は勝つぞ〜」
「せいぜい頑張りなさいな」
「ふっ。私の番外戦術を甘くみるなよ?」
「正々堂々戦ってくれないかな!?」
始まる前から不正行為宣言。スポーツマンシップって文化がないのか?
話しながらキャラ選択の画面が表示される。
「よ〜し、今日こそ勝と〜ドラゴン!」
このゲームの主人公キャラだ。使っている理由が主人公だし強いっしょとか言う謎理論で選んでいるそうだ。
「じゃあ俺はコレっと」
「でた!スゲェモン鈴木!」
力士がモチーフのキャラクターだ。いつも使ってて思うがこの名前を付けた人のネーミングセンスを疑う。
その変な名前に惹かれて使っているんだけどね。
「ROUND1 FIGHT」
スピーカーから発せられる音を聞きお互いにキャラクターを動かし始める。
「飛び道具ばっか使いやがって!殴り合おうぜ!」
「飛び道具ばっか使いやがっていらっしゃるのはそっちだからな!?」
苦戦しつつも何とか攻撃を当て一気にコンボでダメージを与える。
「む〜〜〜こっちだって...」
次はイリスのキャラクターがコンボをするが
「あ〜!失敗した〜!」
途中で失敗してしまう。
その隙をついて喰らったダメージ以上のダメージを与え何とか一ラウンドをとる。
「あぶね〜意外とギリギリだったな」
「次は取るからね!」
「はいはい」
イリスの宣戦布告を適当に遇う。
「ROUND2 FIGHT」
二ラウンド目の合図が鳴る。
「あっちょっと待って!待ってよ!」
遠くから飛び道具で攻撃されるのは厄介だから最初から一気に距離を詰め、攻撃を仕掛ける。
「距離を詰めればこっちのもんだからな」
そう言いながら更に追い打ちをかける。
一度攻撃を喰らうがすぐさま反撃をして試合に勝利した。
「くそ〜次こそは勝つぞ!」
「何度でも相手してやるよ」
「ムキーーー!」
猿みたいな発音で悔しがるイリス。オンラインでも楽しいが、相手の表情を伺いながらゲームご出来るのはオフラインの良さだと思う。
その後も何回かやるが結果は俺の全勝。
「こうなったらアレをするしかないな...」
意味深な発言をしているが選択したキャラクターは同じくドラゴンだ。
「ROUND1 FIGHT」
始まるがさっきと全く変わらなかった。
「口だけか〜そのアレとやらは」
ちょっと煽ってみる。
すると、イリスはニヤリと笑う。
「次からが本番だよ?」
そう言った瞬間に二ラウンド目が始まる。がやはり変化は無い。
「あんっ、あっん♡、勇ちゃんっ激しいっ♡」
「俺は激しく無いからね!?」
いつもは出さない、少しエッチな声を出すイリス。少しだけだからな?ほんとに
なんとなくは察していたが動揺してしまい、簡単なコンボを失敗してしまう。
その隙を突かれコンボを喰らってしまう。
「次はっ♡私が♡動くからねっ♡」
「コンボの事だよね!?そうだよね!?」
ツッコミをしてる間もコンボを喰らい後、一発でも喰らったら負けてしまう時、扉がバン!と音を立てる。
「アンタらは何しとんじゃい!」
お手本のような怒筋を作りながらゲームの画面を見る。アルテミスの顔は太陽の様に赤くなる。
「な〜に〜、アルテミス。何想像してたのかな〜?エッチ事だと思った?ねえねえ?」
どうやら面白いおもちゃを見つけたようだ。イリスは突撃してきたアルテミスを豊富な表情で煽っている。
「もう知らない!」
扉を力強く閉めて俺の部屋から出て行く。
すぐに別の扉の開く音が聞こえた。自分の部屋に戻ったらしい。
「隙やり!」
そう言いながらイリスはスゲェモン鈴木に大技を決める。
「せこいすぎるだろ!それでも神様かよ!」
「勝てばいいのだよ勝てば」
なんて言っていたが結局、三ラウンド目は俺が圧勝し試合に負けるイリスであった。
「うぅ〜〜〜あたしゃもう寝るよ。今日は枕を濡らします」
しくしくと効果音を言いながら持ってきた物を持って自分の部屋に戻っている。
「...まて、その右手のものは置いてけ」
「ちっバレたか...」
そう言いながら俺のソフトを元あった位置に戻す。
「やりたいのか?」
「昔から気になってたけど忙しくて買えてなかったんだよね」
アルテミスとは違い忙しいようだ。
「貸してやるよ。終わったら感想教えてくれ」
「...いいの?」
「素直に言ってくれれば全然貸すぞ?返してくれれば別にいいし」
一緒に住んでいるんだ。別に貸したって問題ないだろ。
「やった〜ありがと〜勇ちゃ〜ん」
ぷるんっと柔らか二つの球が押し寄せてくる。薄いTシャツに加え下着を付けていないのか前よりも柔らかさが直に伝わってくる。
初めて人に物化して良かったと思った。人じゃなくて神様か。
そんな楽しい今日が終わる。明日は自称シスターが待っている。そう考えると少し憂鬱だ。
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