真相は神様だけが知っている
神様の仕事内容や天界などについての話が一通り終わり次の話へと変わる。
「ところでアルテミス。最近、仕事してるかしら?」
ニコニコっとしているが怒筋は出来ているため怖さを隠しきれていない。
「えーとですね...そのですね...」
一方アルテミスの方は太陽よりも赤くなり汗は止まらず、身体全身が小刻みに震えている。
よっぽど怖いらしい。
「アンタ、勇凛君と喧嘩したんでしょ?その理由を話しなさい」
怒筋はいつのまにか消え少し呆れた声を出す。
「...耳貸して。勇くんには聞かれたくない」
怒っている理由は教えてくれないらしい。それじゃ仲直りできないだろ。
「なんとなく察しがついてるけどね。ごめんね勇凛君。この子の意思を尊重させてあげて?」
「仲直りできるならいいですよ」
「任せなさい!」
どんっと胸を叩く虹色。ポヨヨンと揺れていたのは見逃さない。
「じゃあ耳貸して。...勇くんは耳閉じてて、一応」
「はいはい」
ほんとに仲直りできるのか?
「...言い合いになって...って言われて...怒っちゃって...」
「ふんふん」
アルテミスの話にうんうんとゆっくり相槌を打っている。何話してるんだろな。
「なるほど。予想通りだわ」
昔からの知り合いだからわかる事があるんだろな。
「ちょっと強いこと言うけどいい?」
「...うん」
「まずあなたは気にしすぎよ。何百年も引きずってるのよ。もう忘れなさいあの事は」
「まって二人って何歳なの?」
「レディーに聞く事じゃないわよ?」
そうだけどめっちゃ気になる。ネットで調べたら出てくるかな?
「でもでも」
「アンタは何年その目で見てきたの?まず彼はあの事を知らないでしょ。アルテミスに嫌がらせをする為に言ったわけではないのよ?それに知ってたとしたらそれを言うような子だった?私はアンタよりも直接見てないけどたくさん話した。人の嫌がる事をするような子じゃなかったよ。アンタにはそういう事をする子に見えたの?」
「...ううん」
虹色の怒り混じりの声とアルテミスの怯えた声が部屋に響く。
「違うってわかってるでしょ?自分のわがままだって。それで彼に辛い思いさせてるってのもわかってるよね?これは全部アンタが悪い。ちゃんと謝りなさい」
「...うん」
終始蚊帳の外だな。何も出来ない自分が憎い。本当は自分で解決しなきゃならないのに人どころか神にも頼って。情けない。
「...ごめんね勇くん。私のわがままで傷つけちゃって沢山の時間を無駄にさせちゃって。私が全部悪かった。全部」
「俺だって悪いさ。何もアルテミスのこと知らないから傷つけちゃって。よかったら理由、教えてくれないか?俺はアルテミスの事もっと知りたい」
本心だ。そうすれば彼女を傷つける事なく平穏な生活ができるはずだ。
「...ごめん。それはまだできない」
「...何で?」
どうして教えてくれないんだよ!そう言いたかったが誰にも見せたくないような顔を見せてくれる彼女にはそんな強い言葉を言えない。
「ごめんね?本当に。こんな神様で」
「...いいよ。でも、いつかは話してくれよ?」
「...うん」
その後、彼女は泣き叫んだ。虹色はアルテミスの近くに寄り頑張ったねと優しい言葉をかけ続けている。場違いな気がするな。そう思い立ち上がる。
「どうしたの?」
「ちょっと自分の部屋に行くわ」
震えた声で伝える。そして歩き出す。神様パワーでバレないうちに。
「...ごめんね勇凛君」
小さい声で謝る虹色。どうやらもうバレていたようだ。この辛さがアルテミスにはバレないようそっと扉を閉めた。
「まだ信用されてないのか...」
ボトッとベットに倒れ込む。俺の事を何でも知っていても教えたくない事か。虹色には言えて俺には言えない。信頼関係は構築できていないからな。俺もアルテミスの事を信じてない部分多い。それが原因かもな。
「...うっ」
悔しいなまったく。俺は何も知らないくて向こうは何でも知っている。アルテミスの事を全く知らない。何が好きで何が嫌いでどんな本当はどんな性格なのかもわからない。
「ごめんなアルテミス...」
謝る事が一番最初にしないといけない事ではないがしてしまう。それしかできない自分に腹が立つ。
「やっぱり悔しいなちくしょう!」
思いっきりベットを叩くが何も出ない。ブロックを叩くとコインが出てもベットを叩いても欲しい答えは出てこない。これが現実で向こうが非現実。
全員が謝る最悪の引き分け。次の試合はいつ始まるだろうか?日程は神すらもわからない。決まってるなら教えてくれよ?それまで目を閉じてるからさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます