第84話 畑


♪シャララ~ シャラララ~ラ シャララ~ シャララララ~


♪君は~ 君こそ~は フフン~ フフフフフン~


ん?

Do you have a ホンマ?




ワタシは今、日曜日の昼下がりがとっても朗らかになりそうな曲を口ずさみながら、


除草が終わってキレイになった、昔、畑だった場所を耕しています


そして今、ワタシが使っている道具は、




【小型耕運機 ホンマ おまめ ガソリンエンジン式 57㏄ 119,800円】



これはアレです。ちょっとした畑を所有している実家の父にプレゼントした、小型耕運機です


小さくて軽い真っ赤なボディーに、ちょっと大き目なエンジンを積んだ、割と本格的に使えるヤツです


ふんわりした畑の土壌のみならず、割と固めな畑になる前の土でも、ホリホリできちゃうヤツです



そんな、結構本格的な農作業マシーンを導入して、草刈りによって見事に復活を果たした畑を有効活用します


(立派な畑があるというのに、雑草を育てても勿体ないですからね)


とは言え、ワタシに農業の知識はなく、というより、自分が何を知っているのかすら分からないレベルです


ということで、この町のネイティブなみなさんにご相談です



「ねぇ、ねぇ、みんな、ちょっと聞いて欲しいのです」


アレッタ「ん? 何だいお嬢」


「ねぇ、この畑、耕したら、結構いい感じじゃない?」

「これを今使わずに、いつ使のだ! ってな感じじゃない?」

「ということで、何植える? 何植えたらいいと思う?」


ん?

腐ってる?

早すぎた?




アレッタ「う~ん。イモ類なら、とりあえず何でも育つんじゃない?」


クロエ「イモ? お芋植えるの?」


ケイト「お芋! 甘いお芋!」


プリシラ「お嬢の、あの甘いお芋なら、ぜひ育てたいですわね!」



そんな会話をしていると、お馴染みのいつもの声、営業のスズキさんからアプローチです


『お客様すいませ~ん』

『手前どもにご提案がございま~す』


そんなセリフと共に目の前に現れる、【買い物履歴】画面


その中央[あなたにお勧め]には、




【甘藷 紅あ〇ま 産地直送 無農薬・有機肥料 2kg 2,400円】



これはアレです。通販サイトで購入した、生産者の名前が分かる、産地直送のヤツです


宅配便で届いた段ボールを開けた時、土がついたままの状態だったのに驚いたヤツです


産直・自然栽培のアピールなのか、それとも単に洗う手間を省いただけなのか


スーパーのキレイなお芋しか触れたことがなかったワタシ的には、ちょっとビックリでした


(でもこれなら、変な加工とかしてないから、そのまま植えられるかな?)



ということで、早速購入です。


「じゃじゃーん、お芋さん、あの、甘い焼き芋と同じ、紅あ〇まというお芋さんで~す!」


ケイト「え? これ、甘い焼き芋の、あのお芋ですか?」


「ですです」


クロエ「やったー! お嬢の甘い焼き芋!」


プリシラ「お嬢、大変結構なお手並みですわ!」


アレッタ「へ~。しっかりしたイモだね。これなら、ちゃんと育つんじゃない?」


「あれ? もしかして、アレッタさんはお芋さん育てるの、得意だったり?」


アレッタ「ん? 得意って程じゃないさ」

アレッタ「でも、ウチもこの畑がある、この孤児院出身者なんだ」

アレッタ「農業はそれなりにできるつもりだよ」


どうやらここの孤児院では、農業技術はマストのようです



「それじゃあ、アレッタさんをリーダーにして、お芋育成隊を結成しま~す!」

「お芋さんを育てたい人、しゅーごー!」


「「「「「「は~い!」」」」」」


お姉ちゃんズ3人に加え、孤児院のキッズにも数名立候補者がいました


(これなら、お芋で畑を有効活用できそうですね♪)


嬉しくなって、思わず鼻歌が飛び出してしまうワタシです


♪愛の花咲く 芋畑~


ん?

麦畑?

マヨネーズ?




ちなみにジェニー姐さんはというと、


ジェニー「もう3日よ? いい加減元の作業にもどらせてもらうわ」


と言い残し、ノートパソコンをいじりはじめました


最初はひとり教会の中で作業をしていたみたいですが、


ノートパソコンの内臓バッテリーの警告ランプが点灯するや、


充電ができるワタシのそばにピッタリ張り付いてきました



広大な畑を前に、農作業者にまじって、無言でノートパソコンをいじる人がいる図


時代は変わった、


なぜかそうしみじみ思うワタシなのでした


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異世界に来たようですが何も分かりません ~【買い物履歴】スキルでぼちぼち生活しています~ ぱつきんすきー @hotk714

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