第62話 彼を知り己を知れば


「群れというほどではないけれど、それなりの数の【アントン】を見つけたわ」

「どうやら、あちらの方向から来ているみたいね」


ジェニー姐さんが【ドローン】を使って確認した結果、


同一方向からこちらに向かってくる数体の【アントン】がいることが分かりました


そして今、ちょっと休憩を兼ねた作戦会議です


(一番の理由は、【ドローン】のバッテリーの充電なんですけどね)


【ドローン】のコントローラーを手放す気配がないジェニー姐さん


まだまだ遊ぶ気満々のようです




ついでなので、久々に、ワタシは自分のステータスを確認です



Lv.9


HP 25600

MP 25600

攻撃 2560

防御 2560

魔力 2560

速度 2560

幸運 2560


スキル

 【言語理解 Lv.9】

 【インベントリ Lv.9】

 【買い物履歴 Lv.9】


テクニック

 【猫脚】




残念ながら、レベルは上がっていなかったようです


ですが、なんだか見慣れない新しい項目があります


新しく増えた項目、それは、『テクニック』


そしてそこには、【猫脚】と記述されています



(【猫脚】? なんだろう?)

(家具とかバスタブのヤツ? それともフランス車の乗り心地かな?)


ん?

青いライオン?




そう思った瞬間、頭の中に情報が入り込んできました


どうやら、抜き足差し足忍び足が上手になって、無音で忍び寄ることが出来る技のようです



【猫脚】というテクニック


先程【働きアントン】に近づく際、いい感じでコッソリ近づけた理由は、


たぶんこの【猫脚】のおかげだったのでしょう


(むむっ、これでワタシは『忍び寄れ! スキニーちゃん』だねっ!)

(髪の色的にもかぶってる気がするし、ワタシも格闘技とかできちゃうかも?)


ん?

クトゥルー?

宇〇CQC?




ついでにチャージ魔力量も確認しておきます


【買い物履歴】画面のチャージ魔力量【15288134】



バイクやらいろいろ買ったのですが、それほど減っている気がしません


(ザックさんたちから貰った魔石の分も加算されてるんだろうね)




そんな感じでワタシ自身の確認をしていると、


ジェニー姐さんから声をかけられます


「倒した【アントン】は収納しておきなさいね?」

「それなりのお金になるわよ?」


どうやら【アントン】の鉄の鎧部分は質の良い鉄でできている場合が多く、


その品質次第で、お値段がそれなりになるそうです



ということで、早速、倒した【働きアントン】に近づきます


ペチペチ


鉄の鎧部分を触ってみると、まさしく、鉄、といった感触です


「硬いでしょ?」

「そんな鎧を着こんでいる相手に、物理攻撃なんて無意味」

「魔法ぐらいしか効果的な攻撃方法がないのよ」


ジェニー姐さんの説明に納得のワタシです



「それにしても、こんな鉄の鎧を着ていては、重いんじゃないの?」


ちょっとキモイですが、試しに、倒した【働きアントン】を持ち上げてみることにします


お顔の方は怖いので、お尻の方に回って、イッセイのセ


「よっこいしょーいちっ!」

「むむっ!」

「ふんがぁ~!」

「はぁはぁはぁはぁ・・・」


びくともしないとはまさにこのこと


一ミリも持ち上がらない【働きアントン】


結果、ワタシの息が上がっただけでした



「あなたもしかして、【アントン】を持ち上げようとしたの?」

「無理よ、無理。200kg以上あるのよ?」


「・・・ハァハァ」

「・・・っえ? 200・・・kg・・・以上・・・です?」


「ええ。でもその前に、息を整えるために休憩なさいな?」




息を整えてから、ジェニー姐さんに質問します


「【アントン】って、重たいから動きが遅いんです?」


「ええ、たぶん。能力に対して自重が重すぎるんでしょうね」


「ということは、お水に沈めると?」


「沈んだまま浮かんでこないでしょうね、たぶん」


(なるほどなるほど、水攻めは効果アリですね?)



そんなことを考えていると、


「この後、こちらに向かってくる【アントン】の方向に行きましょう」

「それで作戦なんだけど、私が陽動と指示出し、スキニーが攻撃でどうかしら?」

「あなたのさっきの攻撃、かなり有効的で効率的だったから、良いと思うのだけど」

「私はあなたが周りを囲まれないよいうに、魔法で陽動しつつ指示をするわ」


ジェニー姐さんから、今後の戦い方の作戦提案がありました


(ワタシ的には、チャージ魔力量を得られるし、文句はないです)

(むしろ、あんなに簡単に討伐できるから、ボーナスステージですね)


ということで了承のお返事です


「その作戦に賛成なのです」

「ですけど、ジェニー姐さんはいいんです?」


「何がかしら?」


「【アントン】の討伐をワタシがひとりじめしちゃって」


「いいのいいの。そういうの飽き飽きしているし」

「それに私は別のことで手が離せないし」


「別のことです?」


「【ドローン】を使って、上空から様子を見ていないとでしょ?」

「【アントン】に囲まれたりしたら大変ですもの」


「ジェニー姐さんは戦いの最中、ずっと【ドローン】を操作するのです?」


「もちろんよ! こんなに楽しいことを止めるわけがないわ!」



(ジェニー姐さん、本音が駄々洩れです)



そんなこんなで作戦会議はソッコー終了


【ドローン】のバッテリーも充電完了


倒した【働きアントン】を【インベントリ】に収納して、


いよいよ、【アントン】の群れに向かって進撃開始なのでした


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