第56話 カミングアウトはいろいろアウト!


セルフ送迎会も終わったので、後はくつろぐだけになりました


お風呂に入ってサッパリしたジェニー姐さんとワタシ


ちょっとまったりした時間です


このタイミングで、


ワタシは自分のこと


自分の状態を、分かる範囲で説明することにしました


(まあ、自分のこと、ほとんど何も分からないんですけどね)



「姐さん、姐さん、ちょっとワタシのお話聞いて欲しいのです」


「ん? それってもしかして、スキニーのことを教えてくれるの?」


「ですです」



そんな感じで説明開始です


 記憶が曖昧で、ワタシ自身のこともよく分からないこと


 (薄っすらとぼやけて不確かな記憶はあると思うんだよね~)


 たぶんワタシは、こことは違う遠いところからきただろうこと


 (きっと異世界的な感じなんだろうけど、どうなのかな~)


 収納系のスキルを保有していること


 (【インベントリ】で通じるのかな~)


 そして、さらに特殊なスキルを保有していていること


 (ワタシの生命線、【買い物履歴】です)


 その特殊なスキルは、ワタシが過去に買ったことがあるモノを呼び出せること


 タダで何でも出せるわけではく、魔力をチャージする必要があること


(魔物退治をしたのは、この魔力をチャージするためです)


以前行ったマジックバッグの実験は、そのスキルの検証の為だったことも説明します


(【買い物履歴】の履歴は、現在進行形で追加可能でした)



実際にジェニー姐さんと同じマジックバッグを目の前に出します


「このマジックバッグ、ジェニー姐さんからワタシが一時的ですけど買ったでしょ?」

「それで、【買い物履歴】スキルで購入可能になったんです」


「それはつまり、私のマジックバッグを複製したのと同じ意味なのかしら?」


「たぶん、そういうことだと思います」


「じゃあ、そのマジックバッグ、中身はどうなっているのかしら?」


「え? たぶん・・・」

「ジェニー姐さんのと同じモノが入っている、のかな?」


「試しに、そのマジックバッグに手を入れて、大金貨を想像してみてくれる?」


「大金貨ですか? わかりましたです」


言われた通りにワタシの持っているマジックバッグに手を入れます


そして、大金貨を想像してみます


すると、数十枚の大金貨のイメージが頭に浮かんできました


「あ、あの~、98枚の大金貨のイメージが浮かんできたんですけど・・・」


「あらそう? それじゃ間違いないわね」

「そのマジックバッグ、中身も私のモノと一緒みたいね?」


(え? そんな薄いリアクションでいいの?)

(なんか軽く流しちゃってますけど、大金貨98枚ですよ?)

(ワタシ、知らぬ間に大金持ちじゃないですか!)



試しに小金貨を想像してみると、こちらも数十枚保存されているイメージが湧いてきました


(ワタシ、すでに億万長者? 億り人です?)

(もう、あくせくお金稼ぎしなくていいみたいです?)



ジェニー姐さんは、割とお金持ちだったみたいです


(どおりで。ワタシにお薬代全額くれるわけですよ)




ワタシ自身の話から大分横道にそれてしまった感じですが、


その流れで、ジェニー姐さんも自身のことを教えてくれました


「前にも話したけれど、私、エルフが4分の1入っているクオーターなの」

「それでね、残りの4分の3は、人族ではなく、魔人族という種族なの」



詳しく聞くと、魔人族とは、人族と見た目は全く一緒


しかしながら似て非なる者らしいです


大きく違うのは、その魔力量と寿命


両方とも、軽く人族の数十倍を超える、とのことでした



なんだかいろいろ驚きです


(普通じゃないとは思っていたけど、姐さん、想像以上でしたね)



「ちなみに年齢は『ヒミツ』、『ヒミツ』よ? いいこと?」


眼光鋭く2回『ヒミツ』が強調されました


きっと、とても大切なことなので念押しされたのでしょう


よって、ワタシのお返事はひとつです


「ハイです!」


(いかにも気にしてらっしゃる女性に、年齢の話なんて・・・)

(地雷原が分かっていて、そこに近づくなんて致しません! 絶対に!)




「ところでスキニー、あなた、記憶がないのよね?」


「ハイです」


「そうなのね。それにしては、何だか変じゃない?」


「え?」


「あなたって、突然思い出したように変なことを言い出すじゃない?」

「そうかと思ったら、突然凄いこと始めたりするし」

「それって何だかいろいろ知ってないとできないことでしょ?」

「そして何より、スキルで出したモノのこととか、詳しいじゃない?」

「本当に記憶がないのなら、そんなことできるのかしら」


「そう言われると、たしかに・・・」


「もしかすると、あなたの能力が記憶に関係しているのかしら?」


「能力です?」


「ええ。【買い物履歴】って言ったかしら? あなたのスキル」


「ハイです」


「履歴っていうくらいだから、そのスキル、過去にさかのぼる感じなのでしょ?」

「それって、過去の記憶がなくても使えるモノなの?」


「およ?」


「逆に言うと、【買い物履歴】のスキルがあるから、過去の記憶が消えていないとか?」

「どうかしら、そんな感じしない?」


「およよよよ?」

「なんだか、ジェニー姐さん、推理がキレキレですね」

「とってもまことしやかな感じになってます!」


「まあ、事実なんて誰にも分らないでしょうけどね?」

「それと、付け加えるのなら、いろいろなモノを購入するべきでしょうね?」


「え? それはどうしてです?」


「過去のモノをたくさん購入すれば、それに関連した記憶も付いてくるんじゃない?」

「そう思ったのだけれど」


「う~ん、それは何とも言えないです」


「けど、試してみる価値はあると思わない?」

「なるだけ多種多様なモノを購入してみたら?」

「たくさん購入したからといって、害があるわけではないのでしょ?」

「私もお手伝いするわよん?」


「たしかにそうですね・・・」


(でも姐さん、何で物欲しげなお顔をしているのです?)

(それって、ただ単に、姐さんが目新しいモノを欲しいだけなのでは?)




こんな感じでカミングアウト大会は終了


ジェニー姐さんは異次元の存在らしい、ということが分かったのでした



今夜は明日の出立に備えて早めの就寝です



(それにしても、ワタシの記憶が変なのって、【買い物履歴】のせいなの?)


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