第45話 テンプレの稼ぎ方?


胡椒とともに、異世界ファンタジーでお金稼ぎの主役級の存在


それは、お塩


お塩と胡椒で爆益!


異世界物のテンプレの中でも、よく知られているヤツですよね?


ということで、ワタシもそれ、やってみます!




カルニバルスという、食虫植物チックな魔物を、


土には優しいけれど根まで枯らす除草剤を用いて討伐してしまった後、


ジェニー姐さんの誘導で、ちょっとくぼ地のような場所へやってきました



背が高かった草原の草も、この辺りだけ下草のように低くなっています


あたかも、何者かにそうさせられているがごとく・・・



そして今、ワタシの目の前には、のっそりとうごめく生物がいます


ナメクジに似た魔物、その名もスラッグラー


何だかホームラン打ちそうなお名前です




この場所にワタシを誘導したジェニー姐さん曰く、


「カルニバルス(先程除草剤で枯らした食虫植物っぽい魔物)と同様でね、」

「倒しづらいという理由で放置されている魔物がいるのよ」

「あなた、試しに討伐してみない?」


ということみたいです




先程、ナメクジに似た、と表現しましたが、それはあくまでフォルムのみ


大きさ的には、トドに似ていると言った方が正しい気がします


(2メートル近い軟体動物が横たわっている姿は、絵的にちょっとホラーですね・・・)



ワタシが可憐なお嬢様だったのなら、きっと卒倒していたに違いありません


(ま、ナメクジなんて、山間の別荘地にはそれこそ五万といたからね)


ん?

山間の別荘地?



また訳が分からなくなりましたが、


ワタシがある程度虫系に耐性があることだけは確かなようです




「このスラッグラーも、さっきのカルニバルス同様、討伐は結構骨が折れるのよ」

「理由も一緒」

「こいつには、氷結(フリーズ)系の魔法か、火炎(フレーム)系の魔法が効果的なんだけど、」

「この辺りは草原だから、火炎(フレーム)魔法は使いにくいでしょ?」

「かと言って、氷結(フリーズ)魔法は使い手があまりいないし」

「そういう理由で、このスラッグラーも野放しなのよね」



こんなジェニー姐さんの説明を右から左に聞き流しながら、【買い物履歴】画面を見るワタシ


その画面の中央[あなたにお勧め]には、




【食塩 1kg 108円】 いつものスーパーの特売品




これはアレですね。いつも行くスーパーで、お一人様1袋まで、と謳われた客寄せの安売り品


いろんなミネラルを含んだ高級なヤツではなく、


【NaCl】と化学式でお呼びしたくなるほど、不純物がないヤツ



(まあ、ナメクジといったら塩ですよね? わかります)


【買い物履歴】の「推し」に納得なワタシなのでした



(それにしても、お塩の販売も変わったよね)

(今ではどこのスーパーでも自由に買えるけど、)

(昔は確か、専売公社なんてのもあったのにね)


ん?

専売公社?



浮かんだ疑問はマルっとスルーし、早速、お塩を購入し、取り出します


ビニール袋を破いて出てきたそれは、真っ白


後はこいつをでっかいナメクジ野郎に振りかければいいのですが、


キモイのであまり近づきたくありません



ということで、投てき用意


対象が大きいので、広範囲に広がるよう、ちょっと高めにスローイングです


その姿はまるでソルトシェーカー


往年の水〇泉関ばりの塩まきを行ったワタシでした


ん?

元関脇?

作家さんの方じゃないよね?




「今、あなたがまいた真っ白なモノは何?」


「へ? お塩ですけど」


「え? 塩なの? あんなに真っ白なのに?」



どうやら、こちらのお塩は真っ白ではないようです


(ミネラルという名の不純物が混ざっているこちらのお塩の方が、ある意味高級品だよね)



そんな感想をいだきつつ、待つことしばし


気がつくと、トドみたいだったスラッグラーなる魔物は、


水たまりに浸かる新聞紙のようになっていました



そして、【買い物履歴】画面のチャージ魔力量を見れば、なんと【136482】


でかいナメクジ、1体倒しただけで10万もの魔力量をゲットできたのでした!



(108円の塩を使って、10万円稼いだ感じになっちゃいましたよ!)



「ワオ! 異世界では、塩で丸儲けができるって、ホントなんだ!」




ということで、ワタシも塩で爆益なのでした!



ん?

塩で稼ぐ?

テンプレ?

ドユコト?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る