第16話 神社へ
<ハヤト>
俺のアルバイトだが、週に3~4日ほど出勤するようになっている。
この年齢でも、正社員雇用もあるそうだが、そういうのは望んでいない。
今のスタイルのままでいい。
さて、中田を送って車の中。
「ナビ、ダンジョンだが、遺跡というのはわかる。 神社ってどういうこと?」
俺は少し引っかかっていた疑問を投げた。
『はい、神社などの空間に
「ひずみ?」
『はい、ハヤト様たちの言葉で言えば、神社ではとても澄んだ雰囲気を感じられたりしませんか?』
・・・
「確かに・・鳥居をくぐった瞬間に雰囲気が変わったような気がするときがある」
『その空間の境のところに無理が生じるのです。 そういった
「ダンジョンを作る?」
『はい、そうです。 そうですね・・神隠しという言葉はご存知でしょうか』
ナビって日本民族?
「そりゃ、知ってるさ」
『その歪に触れたり落ちたりした人たちのことです。 運が良ければ帰還できますが、それ以外は・・』
・・・
・・
ナビが丁寧に説明してくれた。
◇
「大体了解したよ、ナビ。 では、近くの神社だったらどこがいいかな?」
『はい、この地域にはたくさん神社がありますね・・〇〇神社にしてはどうでしょうか?』
ナビが紹介してくれた神社は、初詣の時には大渋滞になる、地元でも大きな神社だ。
「あそこがそうなのか?」
俺は驚いた。
まさかあの神社にダンジョンがあるなんて・・誰も知るはずもないだろう。
ナビを持たなければ、死ぬまで知ることもない。
俺は車を〇〇神社へ向ける。
運転しながら考えていた。
初め、ナビのスキルを取得した時にいろいろ質問してみた。
システムの根幹に関わることには答えれないとあった。
この世界が作られた世界というのも答えてくれなかった。
そして、もし作られた世界ならば、タイムリープなど自分の刻んできた線上のどこかへ、ポンッと移動できたりもするのかと。
やり直し人生ドラマだな。
答えは『お答えできません』だったが。
『ハヤト様、いくら作られた世界であっても、人生は1度きりです。 私との出会いも1度きりですよ』
ナビが話しかけてくる。
・・・
こいつ、やっぱ思考を読んでるだろ?
まぁ、どうすることもできないけどな。
間もなく神社に到着する。
時間は8時10分。
◇
<神社にて>
平日の、こんな通勤時間帯に神社などに普通来ないだろう。
予想通りガラガラだ。
年末年始は車で
俺は駐車場に車を停めて歩いて本殿に向かう。
静かで、本当に荘厳とした雰囲気がある。
出雲大社もそうだったが、鳥居をくぐると雰囲気変わるよなぁ。
俺はそう思いながら歩いて行く。
一応、本殿に挨拶をする。
『ハヤト様、この建物の裏へお回りください』
ナビが俺に話しかけてくる。
俺はナビの指示に従って、本殿の裏側に歩いて行く。
すれ違う人、皆無。
ほんとに誰もいないな。
そう思っていると、ナビがいきなり声をかけてきた。
『ハヤト様、ここです! この空間が歪んでいます。 それにしても上手に塞がっていますねぇ』
ナビが何やら感心している。
「ナビさん・・今、妙な言葉が聞こえてきたのですが・・」
『何でしょうか、ハヤト様』
「上手に塞がっているとかなんとか・・それって広げたらダメなんじゃないの?」
俺は普通にそう思ってしまった。
『大丈夫です、ハヤト様。 普通に触れたりしても何の変化もありませんし、広げることもできません。 私が誘導しなければ、中に入ることは不可能です』
ナビのドヤ顔が浮かぶようだ。
逆に、ナビがいればいつでも入れるのかとも思ったりもした。
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