過ぎ行く日々【凛】

「ついたよ」


我が家について龍ちゃんは、車を停める。


「うん」


私は、車から降りる。


「ちょっと話そうか?」


「うん」


私は、龍ちゃんと歩き出す。龍ちゃんは、無言で鍵を開ける。龍ちゃんは、コートかけにコートをかけて家に入った。私も、玄関の鍵を閉めてコートをかけて家に入っていく。


「凛、おいで」


そう言って、龍ちゃんは私の手を引いてソファーに座らせた。


「龍ちゃん」


「凛、泣かないで大丈夫だから…。あんな写真で凛だってわからないから」


そう言って、龍ちゃんは私を抱き締めてくれる。


「龍ちゃん、迷惑かけない?」


「大丈夫だよ。迷惑なんか、かかってないから」


そう言って、龍ちゃんに抱き締められて安心する。


もしも、何かがあっても龍ちゃんとなら乗り越えていけるよね。


この日から、日々は慌ただしく過ぎていった。


12月23日週刊紙は、堂々と発売された。朝からニュースはその話題で持ちきりで、龍ちゃんはパチンとテレビを消していた。

私は、龍ちゃんが会社に行った後で、買い物に出掛けた。近くのコンビニで週刊紙を見つけてすぐに買った。

【相沢マジック失敗か?!デビュー目前バンドの不倫愛】と週刊紙の表紙にデカデカと書かれていた。


「はぁー」


私は、ため息をつきながら家に帰ってきた。玄関を開けるとバタバタと靴や鞄やコートを放置しながらリビングに向かって、急いで週刊紙を捲って読んだ。


内容は、相沢さんが見せてくれたのと何も変わっていたかった。

私の不妊の話や拓夢のバンドの話。そして、相沢マジックが、失敗に終わるという予想が書かれていた。


「そんなに真剣に読むかな?」


私は、その言葉に振り返った。


「怖い顔だよ!凛」


龍ちゃんが帰宅していた。


「早かったね?」


「うん。今日は、午前中で帰るって話してただろ?」


「えっ?そうだっけ?」


私の言葉に龍ちゃんは、笑って頭を撫でてくれる。


「週刊紙が気になって忘れてた?」


その顔を見て、私は龍ちゃんに抱きついていた。


「どうした?凛。大丈夫?」


「少しだけ、こうしてて」


「わかった」


龍ちゃんは、私を抱き締めてくれた。


「大丈夫だから」


そう言われて背中を擦ってくれるだけで安心した。


それから、クリスマスイベントまでは本当に何をしていたかわからない程、あっという間だった。


12月25日ー


「行こうか」


「うん」


私は、朝の七時に龍ちゃんと二人家を出た。相沢さんから、龍ちゃんは午前中に来て欲しいと頼まれていたからだった。

龍ちゃんは、車を出してくれた。私達は、会場へ向かった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る