結婚してるのを知った怒り

「それから、あんたをつけた。そしたら、あんた結婚してるじゃない」


そう言って、彼女は私を睨み付ける。


「許せなかった。幸せそうに笑ってて、許せなかった。だから、私。龍ちゃんに何もかも話したの」


彼女は、私を見下ろして嘲笑う。


「龍ちゃんね、何て言ったと思う?」


おかしくて、堪らないみたいにケラケラと笑い出した。


「気持ち悪いって言ったんだよ!あんたの事」


「嘘!龍ちゃんが、そんな事言うはずない」


私は、思わず立ち上がっていた。


「また、私をぶつつもり?」


「嘘よ!龍ちゃんは、そんな事言わない」


私が、立ち上がった瞬間。理沙ちゃんは、誰かに連絡をしに行った。


「本当よ!皆月龍次郎は、こう言った。「子供も産めない人間なのに、不倫なんかして、本当気持ち悪い。抱いたって妊娠しないのわかってやる男も男だよな」ってハッキリと私に言ったの」


「嘘よ!そんな酷い嘘、何でつくのよ!龍ちゃんは、そんな事言わない」


私は、彼女の腕を掴んだ。


「証拠が欲しいんだろ?離せよ、ババア」


彼女は、そう言って私の腕を振りほどくとスマホを見つめる。彼女の操作したスマホから、声がする。


【子供も産めない人間なのに、不倫なんかして、本当気持ち悪い。抱いたって妊娠しないのわかってやる男も男だよな…】


それは、紛れもなく大好きな聞いた事のある声だった。


「龍ちゃん……」


私は、その場所に膝から崩れ落ちる。


「そんなの細工したんでしょ?簡単に作れる」


理沙ちゃんは、そう言って怒っている。私は、もう怒る気力も沸かなかった。


「細工なわけないから…。そんな手のこんだ事なんかしないから」


彼女は、私が不幸になるのが可笑しいようだった。


「ってかさ、あんた!子供産めないようなポンコツ人間のくせにさ!よく、凛と不倫するよね?」


「凛ちゃんを傷つけないで」


理沙ちゃんが、そう言ってる声がする。


「はあ?あんたに関係ないし…。これは、私とこいつの話なの!わかるかな?」


「ふざけないで!凛ちゃんの旦那さんは、そんな事言わない」


「言ったの!ハッキリと私に言ったの!それに、龍ちゃんは、私とキスだってしてくれたんだから!」


「ふざけないで!そんな事するわけないでしょ?」


「証拠だってあるのよ!見たい?」


「ふざけるな!見るわけない。そんな嘘の写真見るわけないでしょ」


理沙ちゃんは、そう言って彼女に怒っている。キス?気持ち悪い?頭の中で、グルグルと回っていく。思考が追いつかない。私は、今日、龍ちゃんといつものように、ご飯を食べるつもりだった。

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