凛と結婚してるみたい

トレーがないから、凛は何往復かしていた。


「はい、お箸」


「ありがとう」


俺は、凛からお箸を受けとる。凛は、晩御飯を並べ終わったようだった。


「食べよう」


「うん」


『いただきます』


二人で、手を合わせて食べ始める。


「めちゃくちゃうまい」


コンソメ味のロールキャベツは、めちゃくちゃうまくてビックリした。


「誰でも出来るよ」


「そんな事ない」


あげとわかめの味噌汁も、ツナとキュウリのマカロニサラダもめちゃくちゃうますぎて感動していた。


「凛の旦那さんが羨ましいな」


俺は、ボソッと呟いていた。


「あっ、ごめん。気にしないで!今の、ごめん」


「何で、そんなに謝るの?そんな風に言われて嬉しいよ」


そう言って凛は、笑ってくれる。


「ちょっとだけ、新婚気分味わいたいなー。俺も…」


冗談ぽく言ってから、俺は笑った。


「そうだね!いいよ」


凛は、そう言って笑ってくれるけど…。目は、少し寂しそうだった。


「ちょっとの間だけ、お願いします」


俺は、凛に頭を下げる。


「こちらこそ」


凛は、そう言ってくれる。きっと、神様がいたら怒られるだろう…。最後にするなんて言っておきながら未練タラタラな俺。凛の幸せを願いながら、嬉しくてニヤニヤしちゃう俺。自分が最低な奴だってわかる。


「これ、本当にうまいよ」


俺は、そんな自分を見ないようにそう言った。


「拓夢の口に合ってよかった。まだ、沢山あるから食べてね!拓夢は、若いんだから」


そう言って、凛は寂しそうに笑ってる。今、何を考えてる?さっきの言葉とか考えていた?


「ありがとう!いくらでも食べれそうだわ」


俺は、そう言ってロールキャベツを食べる。凛にとって、聞きたくない言葉を聞かされて傷つけられた。俺には、凛の旦那さんがそんな人には思えなかった。


「凛」


「何?」


「俺の事なんか気にせずに、凛が帰りたい時に帰っていいんだからな」


「うん」


「凛が、愛した人がそんな人間ひとなわけないだろ?あんな女のいう事なんか聞かなくていいんだからな」


「そうだね」


凛は、笑うけど…。今にも消えちゃいそうな顔をしてる。


「そんな顔して笑うなよ!無理しなくていいって!俺の前では、無理して笑わなくていいって!って、俺。矛盾してるな!ごめん」


凛は、「ううん」と首を横に振った。凛の傷が癒えるまでいればいいと俺は思ってる。


「あー、早く食べて!寝なきゃ、明日仕事だわ」


俺は、そう言って残りを食べ進める。凛もゆっくりと箸を進めている。


『ごちそうさまでした』


二人同時に、言って笑ってしまった。


「タイミングバッチリだったな」


「フフフ、そうだね」


凛と俺は、笑いながらお皿を下げに行く。

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