最低だよね、私、自分勝手
凛は、涙を必死で拭い続けてるけど…。止まる事は、なかった。俺は、ティッシュを取って凛の涙を拭ってあげる。
「ごめんね。最低だよね、私、自分勝手だよね」
凛は、そう言って泣いてる。
「
俺は、凛の涙を拭ってそう言った。凛は、俺を見つめる。
「今日、あの子が音声を聞かせてきたの」
「うん」
「内容は、今は言いたくない」
そう言って、凛は胸の辺りの服を右手でギュッと掴んでる。
「聞かないよ」
凛は、その言葉に俺の右手を左手で握りしめてくる。手が震えてるのがわかる。
「龍ちゃんがね」
「うん」
「龍ちゃんがね」
必死で話そうとする凛の目から涙がボロボロと流れ落ちてくる。
「無理しなくていいから」
俺は、左手で、俺の手を握ってる凛の手を握りしめて言う。
「言ったら、あれが龍ちゃんだったって認めなくちゃならないから」
凛は、そう言いながら泣いてる。
「龍ちゃんが、あんな事を言ったって信じたくない。だけど、あれは龍ちゃんの声だった。どう聞いたって本物だった」
「言わなくていい。無理しなくていい」
スーハーって息を整えながら、凛は何とか話そうと頑張ってるようだった。
「拓夢、あのね…」
凛の手が震えてる。
「無理しないでいい!言わなくていい」
凛は、首を左右に振ると小さな声で俺に話す。
「子供も産めない人間なのに、不倫なんかして、本当気持ち悪い。抱いたって妊娠しないのわかってやる男も男だよなって…。龍ちゃんが言ってたのー」
凛は、そう言った瞬間に右手を口に持っていって口を抑える。
「うぅぅ」って声を出してる。俺は、右手にある凛の手を離して引き寄せて抱き締める。
「そんなの嘘に決まってるだろ?どうにか細工したんだよ。だから、それは、凛の旦那さんじゃないから」
俺は、凛の背中を擦る。凛は、ずっと泣いていた。暫くして、凛の泣き声が聞こえないのに気づいて離れる。凛は、眠っていた。俺は、凛をそっと抱えて何とかベッドに連れて行った。
「疲れてたんだな…。おやすみ」
俺は、凛の手を取る。右手には、歯形がクッキリとついていた。
「凛、俺がどうにかするから…。心配するな」
俺は、凛の髪を優しく撫でる。「龍ちゃん」凛は、そう言って横を向いた。何故か笑みが溢(こぼ)れた自分に驚いた。凛が、旦那さんをちゃんと愛しているから俺は凛を愛したのがよくわかったのを感じた。
「俺が、絶対何とかするから」
俺は、凛にそっと毛布をかけて立ち上がる。
ダイニングテーブルに戻って、スマホを取る。
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