どうした、凛?
龍ちゃんは、泣いてる私を不思議そうに見つめる。私は、ずっと龍ちゃんを裏切っていたんだ。蓮見君の事も、拓夢の事も、凛君との事も…。
自分の弱さから、逃げて。迫られると拒めなくて…。そんな最低な人間が私なんだ。
「玄関で、ずっと立ち話だから足疲れたか?」
「えっ?」
「罪悪感とか後ろめたさがあるのか?」
龍ちゃんは、そう言うと靴を脱いで玄関に上がった。
「龍ちゃん」
「おいで」
そう言って、手をひかれてく…。
リビングに入るとソファーまで私を引っ張って行って座らせる。
「どうした?凛」
その優しい眼差しに、涙が止まらなかった。
「泣くなよ」
龍ちゃんの手は、男らしい。その指で、私の涙を拭ってくれる。
「龍ちゃん、私…」
何を言おうとしたのだろうか…。慌てて口を塞いだ。龍ちゃんは、私の手を口からはずさせる。
「寂しくて死にそうだったか?」
首を縦に振った。
「俺も凛としたかったから、同じだったんだなー。嬉しい」
勘違いしてくれたようで、よかった。龍ちゃんは、私をギューっと抱き締めてくれる。
「シャワー浴びたら、しようか?」
私は、頷いた。
「じゃあ、入ってこよう」
龍ちゃんは、そう言って立ち上がって洗面所に行った。
私は、玄関に行く。龍ちゃんの荷物の中から洗濯物を取り出す。勧誘チラシって、本当なのだろうか?洗濯物を洗面所に持って行く。
スーツが無造作にかごに入れられてる。私は、ポケットを探った。
【もっと、知りたいなら連絡を…】と書かれた紙が出てくる。何、これ?
私は、急いでリビングに戻るとスマホを持ってきてパシャリと撮影した。
ガタンって音がして、慌てて紙をポケットに戻した。もう一枚何かがありそうだけど、確認する前に扉が開いてしまった。
「スーツ、自分で洗うよ」
「あ、うん」
「紙見た?」
「う、ううん」
「見たんだろ?」
私は、龍ちゃんから目を反らした。
「それ、何か近所に配れてるとか何とか言って!坂東さんから、渡されたんだよ」
「こ、これが…」
私の不倫が、ご近所にバレてるんだ。
どうしよう…。どうしよう…。
「凛、どうした?顔色悪いぞ」
そう言って、龍ちゃんはスーツのポケットから紙を取り出した。
「これだよ!ポストに入ってたらしいよ!坂東さんが、見せてきた」
「あっ、そうなんだ」
力が抜けて、ヘナヘナと床に座り込んだ。
「大丈夫か?」
龍ちゃんは、そう言って私の頭を撫でてくれる。坂東さんにバレているのかと思って、ヒヤヒヤしていた。嫌、そんな事より凛君とのキスを写真にされていたりするのかと不安になった。
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