絡み合う運命…

『もしもし』


「もしもし」


『走ってきた?何か、どっか走ってた?』


「ううん、走ってない」


『凛さん、大丈夫?走ってないなら、苦しいの?』


「ううん、大丈夫」


『あのね、嫌だと思うけど…』


「何?」


『お昼ご飯食べない?』


「えっ?」


『駄目だよね』


今、一人でいたくない。


「いいよ」


『やったー!じゃあ、一時間後に!一駅先に来てくれる?』


「うん、行く」


『じゃあ、後でね』


凛君は、そう言って電話を切った。私は、シャワーに入りにいく。兎に角、落ち着かせてから会わなくちゃ!一人で、いたくなかった私にとって凛君の電話は救われた。私は、シャワーを浴びた。体を拭いて、頭を乾かした。


頭の中に、凛君と食べるお昼ご飯を何するかが広がっていくから雪雪コンビの事は、忘れていた。


人は、人を無自覚に傷つける生き物なのを雪の発言でより強く感じたのを私は、今でも忘れない。だって、この心の奥深くにそれは消えないシミのようにくっきり残っているのだから…。


「あー、駄目、駄目!よけいな事は考えない」


再び思い出してしまいそうになるのを消去するように首を振った。


「何食べるのかな?」


頭の中を、凛君で膨らませる。


「若いから、またパンケーキ?何て事は、ないよね」


そう言いながら、服を着替えて化粧をする。出来るだけ、不自然じゃないように、ロングスカートにしよう。それから、半袖だよね。やっぱり、そうなっちゃうよね…。私は、ボリューム袖の半袖のブラウスにくるぶし丈のパンツに変える。少しぐらい気分転換したい。


家にいると鬱々と悩んでしまいそうだったので、私は用意を終わらせて家を出る。駅について、切符を買って、凛君がいる一駅先の駅に行く。改札を抜けて、ホームにつくと電車は止まっていた。


「ほら、終電だから!」


「凛、顔色悪いよ」


あの日を思い出して、あしがすくむ


ブー、ブー


【駅で待ってます】


凛君からのメッセージがちょうどやってきて、ホッとした私は、無事に電車に乗り込んだ。


ガタンゴトンと電車に揺られながら、景色を見ていた。


生きる価値って、子供しかないの?産めない人はないの?私は、あの日のメンバーの誰にもそんな疑問をぶつけられなかった。帰宅して、龍ちゃんに泣きながら話した。もう、忘れてると思ってたのに…。


5年も根に持ってるんだ、私…。


電車が駅について、降りる。ちょっとしんどい。私は、近くのベンチに腰かける。雪は、相変わらずだった。雪乃も同じだった。


無自覚なんだろうなー。人を傷つけてる自覚ないんだろうなー。そういう人が放つ言葉って、何でこんなに重いのかな…。


「はぁー」


大きな溜め息を一つ吐いてから、立ち上がる。


「あっ!」


その姿を見て、恥ずかしかった。

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