最低だな!!

お尻のポケットから、スマホを取り出した。


「ごめん、まっつんだわ」


「出ていいよ」


「ごめん」


俺は、立ち上がってダイニングテーブルの椅子に座って電話に出る。


「もしもし」


『お前、何してんだよ』


まっつんは、凄く怒っていた。


「何って?」


『凛さん、壊れそうなぐらい泣いてるんだぞ』


その言葉に、胸が締め付けられて苦しくなる。


「そう」


『もういいのかよ!』


まっつんは、泣いてるみたいな声でそう言った。


「仕方ないよ」


『結婚してるからか?不倫だからか?』


「それもある」


その言葉にまっつんが怒った。


『だったら、最初から凛さんの人生を振り回してんじゃねーぞ』


まっつんは、めちゃくちゃ怒っている時は、喋り方に感情が乗っていない。


「まっつんに関係ないだろ?」


『お前、最低だな!お前が、関わらなかったら凛さんは苦しまなかったんだぞ!』


「何だよ!まっつんは、そっちの味方かよ」


まっつんは、俺の言葉にさらに怒って話した。


『味方も敵もねーよ。凛さんが、どれだけ子供を切望してたかわかってんだろ?』


「だから、何だよ」


『お前への切望も絶望に変わったんだよ』


その言葉に、俺は固まっていた。


『意味理解出来てないなら言ってやるよ!旦那さんがいなかったら、明日花ちゃんみたいになってたぞ!』


その言葉に俺の手が震える。まっつんは、俺に止めをさすように最後にこう言った。


『それと、もう一つ言うけど…。俺は、平田君を応援するから』


「はぁ?何だよ!それ」


やっと出た言葉は、これだった。


『悪いけど、今の凛さんには平田君の優しさが必要だと思った!信じないなら、最後に聞かせてやるよ』


まっつんは、凛達と離れた場所に居たようだった。さっきまでの静けさと変わった。


『凛さん、僕が支えるよ』


『凛ちゃん、そんなに苦しまないでいいの』


『あー、あー、私、私ね』


凛が、子供みたいに泣いてる。


『大丈夫だよ、凛さん』


『大丈夫、大丈夫』


『私、私、いつかは、こうなるってわかってた。だけどね、だけどね。こんな終わり方は嫌だったのー』


泣き崩れてる凛が、浮かんできて…。俺の目から涙がポトリと流れてくる。


『聞こえたか?』


また、静かになった


「だから…」


『拓夢、二度と凛さんに会うな!』


「何で、まっつんに…」


『もう、凛さんに絶望を与えてやるなよ!』


まっつんは、怒りを通り越していた気がする。


『これ以上、絶望したら凛さん。本当にいなくなっちゃうから』


まっつんは、そう言って鼻をすすってる。


『もう、凛さんの人生にかかわるな!』


「ふざけ」


ふざけんなって言おうとした俺にまっつんがこう言った。


『運命を変えたのは、お前だから…』


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