わからないけど…

まっつんさんは、私に申し訳なさそうな顔を向けながら、話す。


「俺、さっき理沙に聞いて!拓夢といると思って連絡しちゃったんだよ」


「えっ?そんな!」


「来ないとは、思うんだけど!駅にいるって言ってたから…。凛さん見つけたから…。もしも、拓夢が来たらと思って」


「駅って、ここの駅ですか?」


「それが、そうっぽくて!すぐ、切ったんだけどさ!本当にごめんね」


まっつんさんは、私に凄く謝ってくれる。


「大丈夫です。教えてくれてありがとうございます」


「うん」


「じゃあ、失礼します」


「あっ!トイレだよね?ごめん、邪魔したね」


「大丈夫です」


私は、お辞儀をしてトイレに入った。

どうしよう…。拓夢が、もしここに来てしまったら…。


私は、22時45分に拓夢にメッセージを送った。嘘がバレてしまった。拓夢を失う気がして、手が震える。私は、トイレを出て凛君の元に戻った。


「凛さん、おかえり」


「凛君、違う場所に行こう」


「えっ?何で?まだ、パフェきたばっかりなんだけど」


「いいから」


「どうして?」


「どうしても…お願い」


「凛さん、どうしてそんな顔してるの?」


「お願い、凛君」


「わかった!すぐ食べるよ」


嫌な予感がする。


それでも、勿体ないから私もケーキを食べて甘ったるいミルクティーも飲んだ。口の中に甘さが残るから、水を飲んだ。


「凛さん、行こう」


「うん」


私は、立ち上がって、お会計をする。店員さんに、お釣りを渡されて焦りすぎて、ジャラジャラと小銭を落としてしまった。


「大丈夫?凛さん」


「大丈夫」


凛君は、小銭を拾ってくれる。


「ありがとう」


「ううん」


どうしよう。私、動揺してる。嫌な予感しかしなくて、怖い。小銭を拾い集めて、立ち上がった。


「でも、何で?凛さん!そんな急いでるの」


「後で、話すから!とりあえず行こう」


私は、急ぎ足でお店を出る。


「そんな急がなくても、待って!」


「早く、いいから」


目の前に、現れたのは拓夢だった。


「何で?」


まっつんさんの言葉通りに拓夢が現れた。


「俺とは、過ごせないのに…。平田さんとは、過ごせんのか?」


「拓夢、違う」


ちゃんと説明しなきゃ!ちゃんと、わかってもらわなきゃ!失くしちゃう。いなくなっちゃう。うまく思考が回っていかない。頭が、真っ白になってく…。拓夢を失いたくない。なのに、拓夢が怒ってる。イライラしてる。


「それはね…」


話そうとしたら、まっつんさんと理沙ちゃんがやってきてしまった。


「こんな女を好きになって馬鹿だった」と言われて、喉の奥が詰まってる。


「ただの、セフレだろ?」って言われた言葉に傷ついた。


「好きになって損した」って言葉に胸が苦しくて堪らない。


「お別れ」って何?


行かないで!行かないで!


「拓夢、待って」って言葉も聞いてくれなかった。


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