危なかった…

私は、玄関にある鏡で顔を見る。


「よかったー。キスマークとかなくて!って、あるわけないし」


玄関に座り込む。まだ、心臓がドキドキしてる。

『俺や近所や母さん!バレないなら、してたらいいよ!』龍ちゃんの言葉が頭の中を流れる。

この家は、大好き!ご近所もいい人ばっかり…。ただ、龍ちゃんがバレちゃいけないってご近所さんは、坂東さんだ!坂東さんは、私と同じ専業主婦で…。噂好きで有名なのだ!


「坂東さんに、バレたら人生終わる」


私は、そう言って立ち上がった。拓夢は、友達だと通せても…。凛君は、駄目だ!今日、凛君を見た時に幼いのを感じた。高校生のお孫さんがいる坂東さんなら、凛君が16歳だってバレる。

私は、リビングにやってきた。


「どうしよう、どうしよう」


独り言を呟きながら、洗面所に入る。


「凛君とどこで会うかなー」


えっと、どうしよう?どうしよう?


さっきの坂東さんの言葉のせいで、思考がうまく纏まらない。


坂東さんのお孫さんが、確か一駅向こうのファストフードでバイトしてたんだよね!夜までって言ってたから!


無理!無理!

どうする?どうする?


考えても、頭が真っ白で思い浮かばない。


「もう、いっか」


私は、お風呂のシャワーを捻る。お湯が出るまでの間にワンピースのボタンを外す。


さっきの拓夢との出来事を思い出して顔がニヤニヤする。


「ヒヤヒヤした。でも、すっごく楽しかった」


お風呂場を見ると湯気がたっている。私は、いっきに服を脱いでシャワーに入った。


拓夢とご飯を食べに行って、そのまま…。変態!

私は、さっきを思い出すだけでドキドキする。シャワーで髪を流して、唇に手を当てる。

あのまま、拓夢といたらどうにかなってたよね。


「やっぱり、拓夢と過ごしたかったかも」


私は、お風呂から上がって体を拭いた。でも、今日は凛君と過ごすって決めてるから…。だから、拓夢とは過ごせない。

私は、珍しく下着だけで寝室に移動する。

龍ちゃんがいたら、絶対駄目っていうけどね!いないから、いいや!


寝室のクローゼットで服を探す。おしゃれなレストランとかは、いけないよね。Tシャツとロングスカートを着る。


だって、また坂東さんに見つかって「デート?」何か言われたら大変だから!


本当は、こっちのスリットの入ったスカートが履きたかったなー。でも、ダメダメ。


見つかったら、大変だから!不倫してるのを近所にバレないようにしなくちゃいけないから…。ただ、凛君とはどこで会うべきかな?


スーパーに買い物に行く格好にしといた。ドレッサーに座って薄化粧をして立ち上がる。

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