5年前ー

子沢山の従姉妹に会うのが堪らなく嫌だった私は、避けていた。

「また、会おう」何て言われても適応にあしらって過ごしてきた。


なのに…。


なのに…。


なのに…。


何で、叔父さん死ぬかな…。結婚式で会ったきり、一度も会っていなかった。叔父さんの葬儀がなければ、この先も会うつもりはなかった。


まこと君、それは駄目だよ」


目の前で、従姉妹の子供が椅子を蹴飛ばしている。5歳だから、まだまだ子供なんだと思う。


「駄目だって」


「わあーーああー」


泣き出しちゃった。最悪だ。


「凛ちゃん、泣かしたの?」


「めぐちゃん、これは真君が椅子を…」


「余計な事しないでよ!だから、子供も産めないような女は駄目なのよ」


はあ?と口に出しそうになってやめた。


「ごめんね」


「もう、真!あっちに行ってて」


真君は、パタパタと走っていった。彼女は、澤島恵さわしまめぐみ。二つ上の従姉妹だ。


「もう、真には構わないで」


「わかってる」


「どうした?恵」


「凛ちゃんが、真を泣かしたのよ」


「えー、真は?」


「涼真くんとこ行った」


「そっか!式始まって泣いてると迷惑だから、泣き止んだならよかったわ」


「本当、子なしって役に立たないよねー。子供の扱い方わかってないし」


私は、真君に注意しなければよかったと思った。


「ごめんね、めぐちゃん」


「別に、いいのよ!」


そう言った後だった。


「赤ちゃんに選ばれないのもわかるな」


そう言って、めぐちゃんの旦那さんはニコニコしながら私と龍ちゃんを見た。私は、拳を握りしめていた。龍ちゃんは、そっと私の手を握りしめた。


「それじゃあ」と交わそうとしたのに、めぐちゃんは続けてこう言った。


「凛ちゃん、8年も出来ないなんて病気じゃないの?ちゃんと、病院に行ってるの?」


「そ、そんなの、めぐちゃんに関係ないじゃない」


「そうやって、すぐ怒るから!赤ちゃん出来ないのよ」


「怒ってなんかない」


「案外、相性悪いんじゃない?」


「そうじゃない!赤ちゃん出来ないって相性悪いのよ」


私は、何も返せなかった。


「あとさ、凛ちゃんにはわかんないと思うのよ!私は、三人も育ててんのよ!一人も育てた事ない人間が真を怒らないでよ!ただでさえ、三人もいて大変なんだから」


「ごめんね」


そう言うと、めぐちゃんの長男8歳が現れた。


「あー、おばちゃん」


「こんにちは」


「おばちゃん可哀想な人なんでしょ?」


「えっ?」


「みんな言ってるよ!おばちゃんは、赤ちゃんが来ない可哀想な人だって」


「こら、一輝かずき。それは内緒って言ったでしょ?」


「えー、ごめんなさい」


そう言って、一輝君は泣きそうは顔をした。


「じゃあね」


めぐちゃんは、何事もなかったように消えていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る