幸せに出来ると……?

平田さんは、珈琲を飲んでから俺を睨み付ける。


「僕の方が、凛さんを幸せに出来ます」


「まだ、親の脛を噛ってるようなガキがよくそんな事言えるな」


「凛さんと一緒になれるなら、学校だってやめる」


「それが、ガキの考えだってわかんないのか?」


平田さんは、俺の言葉に意味がわからないって顔をしてる。


「学校をやめて、働くから!ってさ、凛が望むと思うのか?平田さんが自分のせいで学校辞めたら凛は苦しむよ!ガキは、自分の事しか見えてないから駄目だな。凛の事を考えるなら、自分が選ぶ選択が好きな人を苦しめないかどうか考えるべきじゃないのか?」


「そんな…」


平田さんは、俯いた。


「あのさ、言っとくけど!俺だって譲らないから…。君に渡すつもりないから」


「僕だって負けない」


「それは、凛みたいな綺麗な人としたいからか?」


「えっ…」


「きちんと考えてる?」


「僕の方が幸せに出来るから」


平田さんは、俺の顔をジッと見つめて言った。


「本当に幸せに出来るって思ってんの?」


「当たり前だよ!」


「それは、無理だよ」


俺は、首を横に振った。


「自分が、長く凛さんといるからって偉そうにすんな」


「俺は、長く凛といないよ」


「どういう意味だよ」


「そのままの意味だよ」


平田さんは、言ってる意味がわからないって顔をしながら俺を見つめている。


「凛を幸せに出来るのは、俺でも君でもない」


その言葉に平田さんは、何を言ってるのだって顔をする。


「焦らなくても、答えはいつかわかるよ!」


俺は、そう言って珈琲を飲んだ。平田さんは、何だお前って顔をしている。


「凛の事、本気で好きなら!嫌がる事は、するべきじゃない」


俺は、平田さんの目を見つめて言った。


「それとあの人の一番には絶対になれないってわかっているべきだよ!」


「どういう意味?」


「そのままの意味だ」


「凛さんが僕を選ぶ可能性がないって言いたいのか」


俺は、首を横に振った。


「そうじゃない」


「じゃあ、何?」


「凛は、選ばないよ!俺も君も…」


「はあ?」


「いつかわかるから!俺の言ってる意味が平田さんにも…」


平田さんは、苛々しながら俺を睨み付けた。


「それと、本気で好きなら俺は君を止めるつもりはないよ。ただ、昨日みたいな事はしない方がいい。あんなのは、ガキのやり方だ。本当に振り向いて欲しいなら、凛の望みを叶えるようにしなくちゃ!君のやりたい事を叶える人形ではないんだから」


「何なんだよ!偉そうに言われたくないよ」


「逃げるのか?」


立ち上がろうとした平田さんに俺は、そう言った。


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