第14話



 そこへ、更に一人加わる。

小学校から帰ってきたメグである。


「サエねーちゃん」


驚いたのはぺペンギンである。


「ちょっと、秘密の合図してくれやんと、ワイ、腰抜かしかけたで、人から隠れなあかん身やねんから」


 メグは、ぺペンギンの言葉など聞いていない。

早々にサエの前へ駆け寄る。

そんな少女へ親しげに声をかける。


「メグちゃん、来たよー」


二人は軽く抱き合う。


「サエねーちゃん、お話ししたいこといっぱーいあるの。メグの部屋へ行こう」


「おお、それええね、ワイもシェルターに戻って湯浴びたいし、一緒に行くわ」


「いいよー、ぺぺちゃんも一緒にお話しの仲間に入れてあげるよ」


 とメグは快諾し、同時にサエは立ち上がる。

そして二人と一匹は、早々にコミネの部屋を立ち去る。


・・・・・・・・。


 コミネは一人で部屋に残されている。

静かになった部屋で煙草に手を出すが、禁煙室であったことを思い出し、手を引っ込めて横になる。

目の前にはウィスキーのボトルが二本並んでいる。


「私も、今夜は飲んでみようか」


 コミネは絶対の禁酒をした訳ではない。

旅を続けていくのに非経済的だと思ったからで、絶対に飲まないと決めた訳ではない。

飲まないほうが金銭的に余裕ができる、但し煙草はやめなかった。


「ちょっと、煙草でもやりに行きますか」


そう言って外へ出る。

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