第9話

 死んだときのブラックジョークを言われるのは中々。


「いつも通りのサラリーマン酔っぱらいっぽい感覚だねえ。」


「マスターさんっぽい発言だねえ。

 私は明日からここで働けばいいの?」


「うーん、別にここで働かなくてもいいよ。

 ここの周辺で悪魔が居る国もあるし、そこで仕事を探すのもありだよ。」


「一生養って!」


「ごめんなさい。」


「ふられたー。

 でも、ここで働きたいなあ。

 異世界だから、それっぽい職業してみたい気もするけど。

 やっぱそのあたり平和な国に居た身では許容しきれないと思うし、ここで少し慣らしてお嫁さんにしてくれるなら尚良しかな。」


 ジョークにジョークを重ねていく。

 意味も解らないしどんなことを言っているかわからないが気が付いたら彼女ペースに成っている。

 きちんと自分の主張を通すために一見して正論っぽいことを並べてはリスナーにツッコませる。

 彼女トークが計算されたモノだって言うことに気づくリスナーもたびたび多く。

 その手の切り抜きなどが作られたこともあった。


「諦めませんねえ。」


「今度の私はジョーダン言わないよ。」


「はいはい、じゃあ冗談言わない人には明日までにお店ですることを覚えてもらいましょうか。」


 お腹も膨れたようですしね。


「このシチュー美味しかった。

 コッペパンだったのは意外だったけど凄いお腹に溜まるね。

 何か特別なコッペパンなの?」


「何も特別ではありませんよ。

 自然発酵のイースト菌不使用のパンなだけです。

 日本でも小麦粉さえあれば誰でも作れるパンです。

 技量は必要ですが未熟な発酵でもお腹に溜まる昔から主食として作られるパン本来の味が楽しめるようになっています。

 日本のパンはお菓子のように柔らかいとよく言われますからね。

 ここの風土柄柔らかめパンはあまり好まれませんが、軽食としてなら量も少ないですし夕餉にも響きません。」


「じゃあこれはお昼用?」


「お昼用というわけではありませんが、私の夕食用に焼いたパンですね。」


「パンも自家製なの?」


 ここの土地から町まで歩いていくとなると相当な距離があるのでできることはとことん自分でやる。

 それが自分のモットーだ。

 というかこの土地に引きこもりたい。


「もちろんでございます。

 ライ麦、小麦と共にございますし、強力粉、薄力粉はそろえてあります。

 うどんは上手くミックスすれば作れないことも無いですが、醤油が無いので意味は無いですかね。」


「なべ焼きうどんとか作れそうだけど。」


「ほほう、では土鍋を発注しなくてはいけませんね。

 あくまでも私的なもの様になると思いますよ。」


「お店のスタイルは崩さないのは良いねえ。

 渋くてカッコいい感じのお店?

 でもお花とか結構あるね。」


「ここに来られるお客様は結婚生活から忘れる一時をコンセプトに私が建てたカフェです。

 今は独り身ですが昔は許嫁がいたのですよ。

 私はそれが嫌で飛び出してしまった元貴族のようなものです。

 適度に女性との関りを大切にしつつ自分の趣味を両立することは私には難しいお話でした。」


 達観した顔で紅茶に口を付ける彼を見ると、ちょっと許嫁に妬いた。


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昔書いてた恋愛・ラブコメ?小説


オタク草食系男子は超肉食ヤンデレ宝石令嬢に美味しくいただかれます~純愛から狂愛へダイヤモンドの瞳は狙った獲物を逃さない~


URL

https://kakuyomu.jp/works/1177354054934070039


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スライム道

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