(360)オータム

 四季があるのは日本だけではない。


 緯度が日本と同じ位の国なら、どこでも四季があるのは常識だ。


 で、日本語だと「春夏秋冬」で表される季節の名詞だが、英語だと「スプリング、サマー、オータム、ウィンター」になる訳だ。


 が、今年の秋は暑かったり寒かったりと不安定な気候で、どうにも落ち着かない訳で。


 だからかどうか「秋」って英語で「オータム」以外に「フォール」とも言ったりする訳で。


 コレって何でなんだろう。


 英語圏の人々にとって、秋ってどういう存在なんだろうか。


 日本人にとっては「読書の秋」「食欲の秋」「スポーツの秋」「行楽の秋」「学問の秋」などなど、何をするにも秋がいいって感覚がありそうな気がするのだが、「オータム」と「フォール」は、どんなニュアンスを含む言葉なんだろうな。


 恐らくは何かニュアンスの違いがあるに違いないのだが、その違いが分からない。


 で、調べてみたのだが、何と違いはニュアンスとかそういう次元では全然無かった。


 イギリス英語圏が「オータム」で、アメリカ英語圏が「フォール」と言うだけの事なんだそうな。


 語源として、「オータム」は収穫期を表す言葉らしく、「フォール」は落ち葉を表す言葉なんだそうだ。


 なるほど。


 つまり、日本人が言う「食欲の秋」みたいな表現になぞらえるならば、「収穫の秋」「落ち葉の秋」という事になるんだろうな。


「収穫の秋」と聞くと、収穫祭とか、やたらとお祭が「収穫」に関係しているヨーロッパの文化を感じるが、「落ち葉の秋」って、何だかずいぶんと薄味な表現な気がしてならない。


 だって、戦後の荒廃した世界とかの、それこそ「落ち葉以外に秋を感じられる事が無い」みたいな世界しか思い描けない訳で。


 そう考えると「収穫の秋」というのは、食糧に対する感謝なども感じられて好感が持てるな。


 日本はアメリカの子分みたいな国だけど、デパートで見るのが「オータムセール」ばかりで「フォールセール」では無いあたり、日本人の感性の豊かさはまだまだ健在なんだなと思えるな。


 ともあれ、11月半ばの今日、日本の秋を堪能したいと心から願う、今日の僕なのであります。

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