(329)相対評価と絶対評価

 カクヨムでも人気のジャンルとして「異世界ファンタジー」が君臨している様に思える。


 色々な異世界ファンタジーがあるけど、人気があるのは結局「王道のテンプレ感」を備えた作品な気もしている訳で。


 ふむ、これはこれで興味深い事だ。


 昔から、「女性は白馬の王子様を求めている」という意見を聞いたことがある。


 ディズニー作品もそういう作品が多いし、不屈の名作と呼ばれるものは、総じてそうした要素が含まれている気がする訳で。


 僕はそうしたテンプレから脱却しようと、奇をてらった作品を書く事に執着していたが、多くの人に楽しく読んでもらう為には、そうした「テンプレ要素」を踏まえておく必要があるのではないかと思えてきた訳で。


 で、テンプレの異世界ファンタジーってどういう要素が必要なのだろうか。


 まずは異世界ファンタジーってくらいだから、異世界に行かなくちゃならない。


 そしてその異世界には、主人公が交通事故や過労で死んで、異世界に行く前に神様的なものに出会い、チート能力を付与されて、そして異世界で無双するという流れも必要なのだろう。


 まあ、無双するかどうかはテンプレ要素とは別物かも知れないが、もう一つ、恋愛要素が必要なのだろうと思っている。


 ドラマチックな展開には、「守らなければならないもの」というのが必要で、それを守る為に「他の大切な何かを犠牲にする」というのも必要なのだろう。


 そこには主人公の葛藤が生まれ、その葛藤が物語に深みを持たせる事に必要な要素という事なのかも知れない。


 そこには美男子や美少女みたいなヒーローやヒロインが必要で、ここがいわゆる「白馬の王子様」の要素になってくるのだろう。


 これらの要素以外はどんなオリジナリティがあっても良いのだと思うが、先述の要素は、いわゆる料理でいうところの「出汁だし」みたいなもので、これがなければ料理の旨味が足りないというか、物語が水っぽい薄味な作品になってしまうという事なのだろう。


 しかし、僕にはそんなテンプレ感を演出できる作品が書ける気はしていない。


 何故なら、僕はひねくれ者だからだ。


 ひねくれ者というのは大概、「王道で戦うと弱い」が故に、「奇襲で戦う」という事な訳で。


 要は、僕は王道で戦う弱いので、奇をてらった作品で、他と比較しにくい作品で勝負するしか無いという事だ。


 他と比べて「あの作品より面白い」みたいな評価は、いわゆる「相対評価」な訳だ。


 逆に、奇をてらった前例の無い作品というのは「他に比べるものが無いので、その作品を純粋に評価するしかない」という事で、つまりは「絶対評価」とでも呼ぶべきものになるのだろう。


 が、奇をてらった作品を書こうとしている僕自身、まったくもって新しい作品を書くなんて出来そうにない。


 だって、僕はけっこう「現実主義者」だったりもするからだ。


 そんな僕に書ける、「絶対評価」を得られそうな作品って、どんなジャンルなんだろうな。


 そもそも、「ジャンルにとらわれない」なんて事も必要なのかも知れないが、そんな根本的な事から考えていく必要があるのかも知れないな。


 ・・・結局、何がしたいのかさえ見失いそうになるが、できる事しか出来ないのが僕なので、出来る範囲で何か面白い作品を書きたいと思う、今日の僕なのであります。

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