(291)季語
小説を書きだす時、登場人物やその世界の情景を説明する必要があると思うのだが、あまり露骨に説明してしまうと、何だか物語に入り込めないという人も多いらしく、どうしたものかと悩む事が多い。
登場人物のセリフやアクションから世界観を把握してゆくのがスマートな流れらしいのだが、この様な手法を旨く駆使している作品を見ると、共通しているのが「季語の活用」の様に思える訳だ。
例えば、こんな感じ。
マンションの合間にある小さな公園の色づき始めた紅葉を目の端に捉えながら坂道を駆け降りる少女の姿は~
「マンション」「小さな公園」で都会っぽさが表現され、「色づき始めた紅葉」で季節が秋である事が表現され、「坂道を駆け降りる少女」で、おそらく中高生くらいの健康的な少女がそこに居る事が分かる。
では、時間帯はどうかというと、この文章には時間を示す表現は使われていないのだが、「色づき始めた紅葉を目の端に捉えながら」という表現によって、「明るい時間帯」なのだと分かる訳だ。
こういう表現を極めていくにはどうすれば良いかと考えていたのだが、やはり「俳句」というもののポテンシャルに期待を寄せてしまう訳で。
何せ「俳句」というのは、たった17音の中に情景を詰め込む、小さな物語でもあるからだ。
俳句には大きなルールがあって、5ー7ー5の音で読める事を原則として、「季語を含む事」というものがある。
この「季語」というのが、毎回良い仕事をしてくれる訳だ。
春の季語、夏の季語、秋の季語、冬の季語。
それぞれ沢山の季語があり、それらをマスターすれば、恐らく物語の書き出しの情景描写など、簡単にできるのではないかと思えてきた訳だ。
英会話を身につける為に、文法よりも単語を沢山覚えた方が良いというのと同じで、物語を書き方を見に付ける為には「季語」を沢山覚えた方が良いのだろうな。
という訳で、これからはちょっと季語についても勉強してみようと思う、今日の僕なのであります。
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