ことばの悦楽

（106）聖地巡礼

　よく、アニメの舞台になった場所を巡る事が「聖地巡礼」と呼ばれているが、ゴールデンウィーク中にアマプラで見た「江戸前エルフ」というアニメの舞台が東京の月島だと知り、あまりの地元感についつい散歩がてら足を運んでしまった。

　そして、ゴールデンウィークで賑わう「もんじゃストリート」を歩いているうちにお腹が減り、自宅で作れば安くつくのを承知の上で、ついついお店のもんじゃを食べる事に。

　どこの店も混雑していて、比較的混雑の少ない店を選んだつもりが、結局1時間くらい待たされた。

　混雑の原因は、単なる観光客の多さだけでは無い様で、どうにも店員が少なすぎる気がする。

　店の壁には「スタッフ急募！」みたいな張り紙もあり、やはり人手不足が深刻らしい。

　コロナで観光客が減った時に従業員を減らしただろうから、再び従業員を探そうにもなかなか難しい現実があるのかも知れない。

　お手軽な聖地巡礼のつもりが、なんとも待ちくたびれるランチになってしまったもんだな。

　とは思ったものの、注文した「めんたい餅チーズもんじゃ」はとても美味しかった。

　根っこの部分が大阪人の僕は、お好み焼きやたこ焼きは自宅で食べる派だ。

　かれこれ20年近く東京に住んで、もんじゃも自宅で食べる様になるのかと思っていたが、実際そうはならなかったな。

　帰りはもんじゃストリートから佃大橋（つくだおおはし）を歩いて隅田川を渡り、オフィス付くの駐車場に止めておいた車で帰宅した。

　佃大橋という名の通り、ここは佃煮の発祥の地だ。

　江戸時代に開拓されたこの地は、当時の名残りが残る地名が多く見られる。

　築地、月島、佃（つくだ）、鉄砲洲（てっぽうず）などなど、何となく江戸時代は中洲のある大きな川か海に面した港だった事が想像出来る。

　なるほど、たまにはこういう散歩もいいもんだな。

　目的も無くブラブラするのも悪くないが、アニメで見た景色を実際に見て回るのは、観光地を巡るというよりは、宝探し的な感じがして楽しい気がする。

　今年は関東の「道の駅」を全部制覇するつもりでいるが、こうした「聖地巡礼」を目的に加えれば、旅はもっと面白いかも知れないな。

　今年も仕事が立て込みそうな予感しか無いが、こうした聖地巡礼を是非ともやってみたい今日この頃。

　願わくば、もうパンデミックなどは起こらない事を祈るばかりです。