第3話学校の小鳥遊清麗
「学校に行かないと」
まだ6月下旬だと言うのに外は暑いし、クーラーを入れるのは癪だから部屋の中は熱くてだるい。スマホで時間を確認して家を出る30分前だと知る。それでもめんどくさくてYouTubeを見る。二度寝しそうになってようやく体を起こす。だらだらと階段を降りて朝食をとる。
適当に準備を済ませて、余った時間でVTuberであるマグロちゃんの朝活配信を見る。なんでも人と会いたくないけど話はしたいとかいう独特な考えをお持ちの高校生。設定かどうかはわからない。
ただ、可愛きゃ何でも良くね?可愛いは正義なのだ。活力も得たし行くか学校。自転車を20分ほど走らせて向かう。
「人殺しか……」
小鳥遊先輩の意図を考えていた。
***
「
「お前から言うなんて珍しいな」
鎌田
「聞きたいことがあって、小鳥遊先輩ってどんな人」
「いきなりだな。なんだ気になるのか」
「気になるって言えばそうかな」
「それなら委員長に聞くべきだな。いいんちょ~」
鎌田が手をふって委員長を呼ぶ。委員長こと
勘違い男を減らすスタイル助かります。委員長
「どうしたの鎌田くん」
「晴が小鳥遊先輩のこと知りたがってて」
「え!音無くんスミスミのファンなの」
目をキラキラと輝かせて顔を近づけてきた。突然美少女の顔が目と鼻の先に来るものだから動揺して固まってしまった。その事に気がついたのか「うわぁごめん」と良いながら距離を取った。
「スミスミの話しばらく聞いてなかったから嬉しくなっちゃって」
「あぁ大丈夫」
「むしろお前は得をしたな」
「うっさいぞ」
「とく…?」
「気にしないでくれこいつが馬鹿なだけだから」
いや実際お得もお得だよ。でも動揺しすぎてあんまり記憶にない。
「僕は小鳥遊先輩のファンってわけじゃなくて」
そういった瞬間委員長の目は獲物を補足する鷹のように鋭く殺気を帯びた。
「音無くんもスミスミに近づこうとする害虫ってことかな。音無くんはそんな人には見えなかったんだけど残念。もう……仕方ないよね」
「待って、そういうわけでもないから」
仕方ないって何!?何する気だったの。怖い。ガチファン怖い。あんまり委員長の前で小鳥遊先輩の話はしないほうが良いかもしれない。
「実は昨日バイト先で会って少し話したんだよ。それでちょっと悩んでそうだったから気になって」
2人はもちろん。デリバリーハピネスで僕が依頼者の悩みを解決することやっていることを知らない。それにこの2人に小鳥遊先輩との直接的な接点もないから深くはきかれないだろう。
「待って、音無くんがやってるバイトってデリバリーハピネスだよね」
「そうだけど」
え、なんでまた鷹の目をしているの。なにか地雷でも踏んだか。いや、そんなはずはただ、バイト先で少し話したって話し、、、バイト先……は!
「つまりスミスミの家に行ったってことだよね」
「落ち着いて仕事だから不可抗力だから」
「そうだよね。音無くん、スミスミのこと何も知らないもんね」
委員長の印象が180度変わってしまった。厄介オタクヤンデレ委員長にジョブチェンジだ。
「小鳥遊先輩ってどうして休止したの」
「事務所は学業に専念するためって発表しれたけど、私たちの間では同世代の仲が良かった子役が亡くなってそれに心を痛めたスミスミが耐えられなくなっちゃったって言われてたかな。純粋無垢なスミスミには辛かっただろうな」
子役が亡くなったか……それが人殺しの意味なら
「その子役はどうして亡くなったの」
「交通事故だったり、心不全」
「1人じゃないの」
「その頃連続して亡くなってた」
どういうことだ。てっきり純粋無垢なスミス……小鳥遊先輩が子役仲間の自殺を自分のせいだと感じているだと思ったのに。死因が事故や病気それも複数人。これは関係ないのか。それとも小鳥遊先輩は……
***
放課後3年1組の教室に待機していた。小鳥遊先輩は速攻で帰りそうな気がしたからHRが終わってからすぐに来た。勇気を出して1組の先輩に小鳥遊先輩の所在を聞いた。そこの机で本を読んでいるよと指で指して教えてくれた。「健闘を祈るよ」とかとんだ勘違いをされた。僕は委員長に狙われるほど命知らずじゃない。あの人はヤるね絶対。
「小鳥遊先輩」
教室に入って声をかけると小鳥遊先輩は微笑んだ。
「やっぱり来た。聞いたよ私のこと聞きまわってたって」
ごめんなさい。ほとんど1人で本を読んでいるくらいしか聞けたことありませんでした。あとは1年と2年の初めはしょっちゅう告白されてたけど、告白した次の日当時柔道部だった人がげっそりとやせ細り陰気な人になったって噂が広まって告白されなくなったとか。多分だけど2年になってからってことはあの人の仕業だよね。ほんとに何をしたの
「でも先輩から直接聞こうと思いまして」
小鳥遊先輩には人のいない屋上に来てもらった。
「小鳥遊先輩あなたは
「心歪病ね……都市伝説じゃない」
心歪病は都市伝説扱いの病気。原因不明の病で突然人ならざる力を否応なしに与えてしまうと言われるオカルトチックなものだ。でも僕はそれを否定する
「あれは都市伝説なんかじゃないです。僕は元心歪病患者ですから。小鳥遊先輩の人殺しの意図は心歪病の症状なんじゃないですか」
「君は治し方を知っているの。この呪いの」
「知っているとは言えません。ただ解決させてもらえませんかその病を」
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