第4話「君」の秘密

「おかえり~。学校どうだった?居眠りしなかった?」


「……」


「あ~やっぱり、寝ちゃったんだ…。

 そりゃそうだよ、あんなに必死で作業してたらそうなるって…。

 全く…どうしてそんなになるまでやるかなあ?

 あっ…、もしかして…誰か好きな子でもできたんじゃない?

 それで、その子のための曲を…って、気合い入れて作ってたりして…」


 真っ赤になって首振ってる…。


「どうやら図星みたいね…。このこの~、隅に置けないんだから~。

 ふふっ…。で、でも気になるなあ…。ねえ、どんな子なの?」


 うつむく君。


(目も合わせてくれない…。どういうことだろう…?

 あんまり触れて欲しくないのかな?邪魔するなってことかな?)


「あのね…君が頑張ってるところを見ると、私…なんだか嬉しくなるよ…。

 私が夢をあきらめて、ギターも売っちゃって…、でもそのギターで君が一生懸命曲を作って、聞かせてくれたこと…、きっと偶然じゃないと思うんだよ…。

 運命っていうの?よく分かんないけどさっ…。

 私ね、思うんだ…。もし、あのまま音楽頑張って続けてたら…、私…あの日、死ななかったんじゃないかって…。

 だって…事故に遭った時間はちょうどバンドの練習時間で…、きゃっ…な、何!?」


(どうしたの!?突然私の手、握ってきて…。

 でも…優しいな…、温かいな…。あれ?…なんだろう、この気持ち…?)


「――」


「えっ?思い残すことがあるなら…今からでもやり切ればいい?

 …う、うん…そう、そうだよね!

 …私、せっかくこうやって、まだギター弾けるんだもん…、あきらめてる場合じゃないよねっ!

 よーしっ、もっと上手くなって、もっといい曲作ってやるぞぉ~!」


(君には…音楽のこと…ギターのこと…、ずっと好きでいて欲しいから…、こんなふうに言っておくよ…。

 本当に頑張ってると思うし、期待もしてるからねっ!)

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